カンバン方式のタスク管理のやり方|個人が詰まる3か所と一人用の5列
「ToDoリストが縦に伸びて、今どれが動いているのか分からない」。カンバン方式のタスク管理のやり方は、未着手・今日やる・作業中・先方待ち・完了の5列に並べ、作業中の枚数に上限を置くだけです。
「カンバンを試したけれど、1週間で更新しなくなった」という失敗も、詰まる3か所を先に知っていれば避けられます。複数の案件を一人で抱える人に向けて、作業中の枚数の計算のしかたと、症状別の直し方まで載せています。
カンバン方式のタスク管理のやり方は?5列に並べて作業中の枚数を決める
やり方は、作業をカードにして5列に並べ、作業中の列に置ける枚数に上限を決めることです。始めるときは、次の4ステップを最初の1回だけまとめて行います。
ステップ1 タスクを1回で全部出す
案件ごとに、いま抱えている作業を全部書き出します。頭の中にあるものだけでなく、受けたまま返事をしていない依頼も含めます。順番も大きさも、書き出す段階では気にしません。
ステップ2 カードの粒度をそろえる
1枚が1回で終わる大きさになるように割ります。「サイトを作る」は割ります。「トップページのワイヤーフレームを引く」なら1枚です。粒度がそろっていないと、枚数の上限が働きません。
ステップ3 列に配って作業中の上限を決める
全部のカードを未着手に置き、先方の返事を待っているものだけを先方待ちへ移します。先方待ちへ移し終えたら、後で説明する計算で出した枚数を作業中の上限として、列の見出しの横に書いておきます。
ステップ4 動かす時間を決める
朝と夕方の2回にします。朝は未着手から今日やるへ移し、夕方は終わったものを完了へ、返事待ちになったものを先方待ちへ移します。
朝に今日やるへ移す順番は、先方に出す日が近いものを先に、次に先方の返事を待たせているものの順です。思い出したときに動かす形にすると、動かさない日が出てきます。
朝夕の2回とは別に、週に1回だけ棚卸しの時間を取ります。見るのは2か所です。
1つは完了の列で、その週に終わったカードを数えてから空にします。数えておくと、1週間に何枚こなせるかが分かり、作業中の上限が妥当だったかを判断できます。
もう1つは未着手の列で、何週間も動いていないカードを探します。動かないものは、やらないと決めるか、大きすぎて手が出ないかのどちらかです。前者は消し、後者は割り直します。
カンバン方式のタスク管理とは?
作業を1枚のカードにして、進み具合を表す列の間で動かしていく管理のやり方です。見えるようになるのは、やることの一覧ではなく「今どこで止まっているか」です。
カンバンとToDoリストの違い
同じ10件でも、9件が作業中に溜まっているのか、9件が先方待ちなのかで、次に取る行動は変わります。ToDoリストは終わったものを消して残りを見る形なので、どちらの状態かが見えません。
カンバンなら、1件ずつが今どの段階にあるかが列の位置で分かります。
製造業の「かんばん」とタスク管理の「カンバンボード」は別物
カンバン方式という名前は、トヨタの生産方式が由来です。タスク管理のカンバンボードは、そこから「仕掛かりを見える形にして、抱えすぎを防ぐ」という考え方を借りたもので、生産の現場の仕組みをそのまま使うわけではありません。
カンバンボードを作る3つの部品
必要なのは、列とカードと作業中の上限です。Atlassianの解説でも、ワークフローのステージを表す列、個別のタスク用のカード、過負荷を防ぐためのWIP(仕掛品)制限が主な要素として挙げられています。
- 列=作業がどの段階にあるかを表す縦の区切り
- カード=1件の作業。列から列へ動かす
- 作業中の上限=同時に進めてよいカードの枚数
作業中の上限を置かないと、カンバンはただの縦並びのリストになります。
個人のカンバンは何列にすればいい?

5列です。未着手・今日やる・作業中・先方待ち・完了の5つに分けます。基本の3列のままだと、一人で回すときに2つの問題が出ます。
未着手・作業中・完了の3列だと一人では止まる
Atlassianの解説では、カードが「未着手」「進行中」「完了」などのステージを左から右へ進む例が示されています。一人で使うと、この3列では2つの問題が出ます。
1つは、未着手が何十枚にもなって、朝いちばんにどれを取るかを毎回決め直すことになる点です。もう1つは、自分の手が止まっているのか相手の返事を待っているのかが、どちらも作業中に入ってしまって区別できない点です。
一人用の5列
| 列名 | 入れるもの | 次の列へ出す条件 | 見直すタイミング |
|---|---|---|---|
| 未着手 | やると決めた作業すべて | 今日やると決めたとき | 週に1回 |
| 今日やる | 今日のうちに着手する作業 | 手を付けたとき | 毎朝 |
| 作業中 | いま実際に手を動かしている作業 | 自分の手が離れたとき | 随時 |
| 先方待ち | 相手の確認・素材・返事を待っている作業 | 返事が来たとき | 毎朝と夕方 |
| 完了 | 先方の確認まで終わった作業 | (出さない) | 週に1回まとめて空にする |
①「今日やる」を分けると朝の判断が1回で終わる
未着手から直接手を付ける形にすると、1件終わるたびに次を選び直すことになります。朝のうちに今日やる列へ数枚を移しておけば、その日の判断は1回で済みます。移す枚数は、作業中の上限と同じか、少し多いくらいが目安です。
②「先方待ち」を分けると自分の停滞と他人待ちが混ざらない
先方待ちを独立させると、作業中に残るのは自分が動かせるものだけになります。朝と夕方に先方待ちの列を見て、何日も動いていないカードがあれば催促の判断ができます。
催促そのものの進め方は確認待ちを相手のタスクとして書く進行管理のやり方にまとめています。
③「完了」は週に1度まとめて空にする
完了はすぐ消さずに溜めます。週に1回まとめて空にすると、その週に何が終わったかが一覧で見えます。毎回消してしまうと、終わった実感も、見積もりの材料も残りません。
列を6つ以上に増やすと更新が止まる
レビュー中、修正中、納品済みと足していくと、カードを動かす回数が増えます。1枚が終わるまでに4回も5回も動かす形にすると、動かす作業そのものが面倒になって更新が止まります。
一人で使うなら列は5つまでにします。工程を細かく管理したくなったら、列を増やすのではなくカードを分けます。
作業中には何枚まで置いていい?

決まった正解の枚数はなく、自分の1日の実作業時間を、カード1枚あたりの時間で割って決めます。
WIP制限とは?
作業中の列に同時に置いてよいカードの枚数に、上限を決めることです。上限に達しているときは、新しいカードを作業中へ移さず、まず今あるものを終わらせます。抱えすぎを防ぐための仕組みなので、守れない上限を置いても意味がありません。
自分の枚数を決める3手順
①1日の実作業時間を出す
打ち合わせやメールの返信を除いた、実際に手を動かせる時間を出します。6時間働く日に打ち合わせと返信で2時間使うなら、実作業は4時間です。
②カード1枚あたりの所要時間を置く
直近で終わったカードを5枚ほど振り返り、1枚にかかった時間の平均を出します。平均が2時間なら、1枚2時間として計算します。
③割り算して枚数にする
実作業4時間で1枚2時間なら、1日に終わるのは2枚です。作業中の上限は2枚にします。割り切れないときは、端数を切り捨てます。切り上げると、1日で終わらない分が毎日持ち越されます。
枚数を守れないときに見る2つの原因
1つはカードが大きすぎる場合です。1枚が3日かかる作りだと、作業中に何日も居座るので、枚数の上限に意味がなくなります。
1回で終わる大きさまで割ります。もう1つは、先方待ちが作業中に混ざっている場合です。
自分が動かせないものが枠を占めていると、実際には2枚しか進めていないのに5枚抱えているように見えます。
カンバン方式のメリットとデメリットは?
進み具合が位置で見えるのが利点で、重要度と締切が乗らないのが弱点です。
メリット3つ
| 観点 | カンバンで良くなること | カンバンでは埋まらないこと |
|---|---|---|
| 進み具合 | どの段階に何枚あるかが一目で分かる | それぞれがいつ終わるかは分からない |
| 詰まり | 枚数が増えている列が、そのまま詰まっている場所になる | なぜ詰まっているかは書かれない |
| 並べ替え | カードを動かすだけなので、順番の入れ替えが軽い | どれを先にすべきかの判断材料は持たない |
デメリット3つ
1つ目は、重要度が乗らないことです。列の中での上下で表すしかなく、見ただけでは分かりません。
2つ目は、締切が見えないことです。カードに日付を書いても、ボードの見た目には出てきません。
3つ目は、更新が止まりやすいことです。カードを動かす動作は自動では起きないので、動かす時間を決めていないと、ボードと実態がずれていきます。
カンバン方式のタスク管理がうまくいかないときは?症状別の直し方
まず、先方待ちのカードが作業中に混ざっていないかを確かめます。ほかの症状は、次の表で詰まっている場所を探して直します。
症状と詰まっている場所の一覧
個人のカンバンで起きやすい症状を、作業中が渋滞する、先方待ちが作業中に混ざる、締切のあるタスクが埋もれる、の3つの詰まりに分けました。
| 症状 | どの詰まりか | 直し方 |
|---|---|---|
| 作業中のカードが増え続ける | 作業中が渋滞する | 上限の枚数を決め、達したら新しいカードを入れない |
| カードが何日も動かない | 作業中が渋滞する | 1回で終わる大きさにカードを割る |
| 手が空いているのにボードは満杯に見える | 先方待ちが作業中に混ざる | 相手の返事を待っているカードを先方待ちへ移す |
| 催促のタイミングを逃す | 先方待ちが作業中に混ざる | 朝と夕方に先方待ちの列だけを見る |
| 締切に間に合わない | 締切のあるタスクが埋もれる | 締切のあるカードはカレンダーにも置く |
| どれから手を付けるか決まらない | 締切のあるタスクが埋もれる | 朝に今日やる列へ移す枚数を、作業中の上限に合わせる |
完了が溜まって見づらい場合は、詰まりではなく片付けの問題です。週に1回まとめて空にします。
複数の症状が同時に出ているときは、先方待ちの分離から手を付けてください。作業中の渋滞に見えている枚数の中に他人待ちが混ざっていると、上限を計算し直しても合わないためです。
カンバン方式が向くタスク・向かないタスク
段階を移りながら進む作業には向き、日付で決まっている作業には向きません。
向くタスク/向かないタスク
| タスクの性質 | カンバンで扱えるか | 代わりに使うもの |
|---|---|---|
| 制作物が段階を移りながら進む | 向く | — |
| 相手の返事を挟んで止まる | 向く | — |
| 決まった日時に行う | 向かない | カレンダー |
| 毎週・毎月繰り返す | 向かない | 繰り返し設定のあるタスク管理ツール |
| 期間の重なりを見たい | 向かない | ガントチャート |
締切のあるタスクはカレンダーと二重に置く
カンバンには時間軸がありません。カードに締切を書いても、近づいてきたことをボードが教えてくれることはないので、締切のあるものはカレンダーにも置きます。
二重管理に見えますが、役割が違います。ボードは今どこにあるかを見るもの、カレンダーはいつまでかを見るものです。
期間の重なりまで見たい場合は、カンバンの列を増やさず、スプレッドシートで作るガントチャートを別に用意します。
カンバン方式のタスク管理を無料で始める3つの場所
道具は何でも構いません。続けられるかどうかで選びます。
| 置き場所 | 向いている人 | 弱点 |
|---|---|---|
| 紙と付箋 | 机で作業する時間が長い人 | 外出先で見られない。枚数が増えると貼る場所が足りない |
| 表計算 | すでにスプレッドシートで案件を管理している人 | カードを動かす操作が、切り取りと貼り付けになる |
| カンバン表示を持つタスク管理ツール | 外出先でも更新したい人 | 無料で使える範囲がツールごとに違う |
紙と付箋
いちばん動かしやすいのは付箋です。壁やホワイトボードに5列を引いて貼るだけで始められます。
弱点は場所に縛られることなので、外で確認する必要があるなら別の場所を選びます。紙とアプリの向き不向きは紙とアプリのどちらでタスク管理をするかにまとめています。
表計算(スプレッドシート・エクセル)
列を5つ作って、カードにあたる行を切り取って移す形です。すでに案件の一覧を表計算で持っているなら、同じファイルの別シートに置けます。弱点は操作の重さで、カードを動かすたびに切り取りと貼り付けが必要になります。
カンバン表示を持つタスク管理ツール
ボード表示を持つタスク管理ツールを使う方法です。スマートフォンからも動かせるのが利点です。
無料で使える範囲はツールごとに違うので、案件の数と列の数が無料の範囲に収まるかを先に確かめます。個人向けの無料のツールは無料で使えるタスク管理アプリの比較で扱っています。
カンバン方式のタスク管理で見えない締切をTASKULで補う
TASKULはカンバン型ではない
TASKUL(タスクル)は、公式サイトで「依頼文やチャットを貼るだけで、タスク・納期を自動生成。」と説明しているタスク管理ツールです。カードを列で動かすボード表示は持っていないので、カンバン方式をそのまま置き換えるものではありません。
公式サイトには「今日・今週の納期タスクをダッシュボードに自動集約」と書かれており、カンバンで埋まらない締切の側を補う道具として使えます。
向く人・向かない人
向かないのは、カードの位置で仕掛かりを見たい人です。ボードの見た目で判断している人にとって、TASKULはカンバンの代わりになりません。
チームで同じボードを見ながら進めたい場合も、ボード表示がないので代わりにはなりません。また、LINE通知とSlack連携は公式サイトでStandardプラン以上の機能として掲載されています。
向くのは、カンバンを試したが更新が止まり、締切に気づくのが先方からの連絡になっている人です。2026年9月時点の公式表記では、無料プランは月額0円で、プロジェクト10件まで、AIクレジットは月200です。TASKULを無料ではじめる
カンバン方式のタスク管理でよくある質問
カンバン方式と「かんばん方式」は同じものですか?
名前の由来は同じですが、指しているものが違います。カンバン方式という名前はトヨタの生産方式が由来で、タスク管理のカンバン方式は、仕掛かりを見える形にする考え方を個人やチームの作業に当てはめたものです。
カンバン方式は時代遅れですか?
やり方として古くなったわけではありません。ただし列を動かす操作が手作業である点は変わらないので、動かす時間を決められない人には合いません。合わないと感じたら、方式を変える前に、更新の回数と道具の組み合わせを見直します。
カンバン方式はエクセルでもできますか?
できます。列を5つ作り、行を切り取って移す形にします。操作は専用のツールより重くなりますが、すでに表計算で案件を管理しているなら、同じファイルに置けるのが利点です。
作業中の枚数は何枚が正解ですか?
決まった正解はありません。1日の実作業時間を、カード1枚あたりの平均時間で割った枚数にします。割り切れないときは端数を切り捨てます。
カンバン方式とガントチャートはどちらがいいですか?
見たいものが違います。今どこで止まっているかを見たいならカンバン、複数の案件の作業期間が重なっていないかを見たいならガントチャートです。両方見たい場合は、日々の管理をカンバン、週の初めの確認をガントチャートに分けます。
カンバンボードは毎日更新しないとダメですか?
毎日動かすのが前提です。ただし回数は朝と夕方の2回で足ります。思い出したときに動かす形にすると、ボードと実態がずれて、開いても判断に使えなくなります。
まとめ|カンバン方式のタスク管理は5列と作業中の上限で回す
カンバン方式のタスク管理は、未着手・今日やる・作業中・先方待ち・完了の5列に並べ、作業中の枚数に上限を置くやり方です。個人のカンバンで詰まりやすいのは、作業中が渋滞する、先方待ちが作業中に混ざる、締切のあるタスクが埋もれる、の3か所です。
列は5つまでにして、動かす時間を朝と夕方に決め、締切のあるカードはカレンダーにも置いてください。最初にここまで決めておけば、カードを動かす時間が毎日の予定に組み込まれます。
