TASKUL コラム 取引条件の明示とは?発注書のない依頼で受ける側が確かめる8項目と返信文例
取引条件の明示とは?発注書のない依頼で受ける側が確かめる8項目と返信文例

取引条件の明示とは?発注書のない依頼で受ける側が確かめる8項目と返信文例

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「制作会社のディレクターから、チャットで『来月頭の公開でLPを1枚お願いできませんか』と届いた」「発注書は来ないまま、『承知しました』と返してよいのか分からない」。チャットで届いた依頼は、返事をする前に取引条件の8つの項目と照らし合わせ、書かれていない項目だけを聞き返します。

取引条件の明示は発注する側に求められていますが、受ける側が聞いて返事を残しておけば、金額や納期の食い違いを着手前に止められます。

この記事では、取引先から直接、または制作会社を通して依頼を受けるWeb制作者・デザイナー・ライターに向けて、フリーランス法で決まっている8つの項目と、それを届いた依頼の確認に使う方法をまとめました。架空の依頼チャット1通を8項目と照らし合わせた表、足りない項目だけを聞き返す返信の文例、スプレッドシートに貼って使えるチェック表を用意しています。

手元の依頼に当てはめたい人は、2つ目の見出しの照合表から読んでください。

取引条件の明示とは?受ける側は何を確かめればいい?

フリーランスに仕事を頼んだ事業者は、頼んだ時点で直ちに、次の8つの項目を書面かメール・チャットなどで示すことになっています。受ける側は、この8項目をそのまま「届いた依頼に何が書かれているか」を確かめる物差しに使えます。

これはフリーランス法の第3条で決まっているもので、項目の並びは公正取引委員会のQ&A(Q35)に、言い換えは公正取引委員会のパンフレットに載っています。

項目 パンフレットでの言い換え 受ける側が見るところ
①名称 発注事業者とフリーランス、それぞれの名称 誰からの依頼か分かるか(ニックネームやビジネスネームで構いません)
②業務委託をした日 業務委託をすることを合意した日 「お受けします」と返した日が記録に残るか
③業務の内容 フリーランスにお願いする業務の内容 作るものの範囲。修正の回数や公開作業まで入っているか
④期日 納品日はいつなのか、いつ作業をするのか 納品日が日付で1つに決まっているか
⑤場所 どこに納品するのか、どこで作業をするのか どこへ、どんな形で納品するか
⑥報酬の額と支払期日 具体的な報酬額を記載することが難しい場合は算定方法による記載でも可能。支払期日は、具体的な支払日を特定する必要があります 金額か計算方法があるか。支払日が日付で決まっているか
⑦検査完了日 検査を完了する期日 先方の確認がいつまでに終わるか(確認してから受け取る取引だけ)
⑧支払方法 金銭以外の方法の支払方法 お金以外の方法で受け取る取引だけ(パンフレットでは「金銭以外の方法の支払方法」)

⑦と⑧は、当てはまる取引のときだけ示す項目です。パンフレットでは⑥と⑦の順番が入れ替わっていますが、この記事ではQ&Aの並びにそろえています。

示す義務は発注する側にある

第3条で取引条件を示すよう求められているのは、仕事を頼む側(法律の言葉では業務委託事業者)です。パンフレットには、フリーランス同士の取引も対象で、発注する側がフリーランスの場合にも同じ義務があると書かれています。

受ける側にできるのは、足りない項目を聞いて、その返事を記録に残すことです。

発注する側として書き方を知りたい場合は、パンフレットに発注書の記載例(発注日・発注内容・納期・納品場所・検査完了日・報酬額・支払期日)が載っています。

この決まりが当てはまる取引か

受ける側で対象になるのは、従業員を使っていない個人と、代表者1人のほかに役員も従業員もいない法人です。頼む側は、フリーランスに仕事を頼む事業者です(Q&A Q2)。

個人が頼む場合は、事業のための依頼か消費者としての依頼かを、1件ごとに判断します(Q&A Q21)。

当てはまらない取引でも、同じ8項目で確かめておけば、着手した後の食い違いは減らせます。

チャットで届いた依頼の取引条件を8項目で確認した例

次の架空の依頼1通では、書いてある項目は1つ、あいまいなものが3つ、まだ無いものが3つ、当てはまらないものが1つでした。まだ無い項目のうち「業務委託をした日」はこちらの返信で記録に残るので、聞き返すのは5つです。

制作会社のディレクターから、2026年10月14日(水)にChatworkで届いた依頼です。

お世話になっております。
来月頭の公開で、新サービスのLPを1枚お願いできませんか。
構成とテキストはこちらで用意します。
デザインとコーディングまでお任せしたいです。
費用は前回と同じくらいで考えています。
素材は来週中に送ります。
よろしくお願いします。

この文面を8項目と1行ずつ照らし合わせた結果が、下の表です。

項目 依頼文の記載 判定 聞き返すこと
①名称 送り主の会社名と担当者名がChatworkに出ている 書いてある なし
②業務委託をした日 まだ合意していない まだ無い なし(「お受けします」と返した日がこの日になる)
③業務の内容 LP1枚、デザインとコーディング あいまい スマホ表示の対応、修正の回数、公開作業は誰がやるか
④期日 「来月頭の公開」 あいまい データを渡す納品日(公開日とは別)
⑤場所 記載なし まだ無い テストサーバーへのアップか、ファイルでの受け渡しか
⑥報酬の額と支払期日 「前回と同じくらい」。支払日の記載なし あいまい 金額(税込か税抜か)と支払日
⑦検査完了日 記載なし まだ無い 先方の確認がいつまでに終わるか
⑧支払方法 記載なし 当てはまらない(お金で受け取る前提) なし

③の修正の回数は、依頼文に書かれていなければ聞いておきます。回数の決め方と書き方は修正の回数を決めて書く方法で説明しています。

「書いてある」と「決まっている」は違う

「前回と同じくらい」や「来月頭」は、報酬や期日に触れてはいますが、金額も日付も1つに決まっていません。表ではこうした記載を「あいまい」に分けています。

判断には、パンフレットにある次の2つの文を使いました。報酬は具体的な額が難しければ計算方法でもよいこと、支払期日は具体的な支払日を特定する必要があることです。

支払日がはっきりしないときは、「◯月◯日のお支払い」と日付で返してもらいます。

その場で決められない項目があると言われたとき

先方が理由を示し、決まる予定日を伝えてくれれば、その項目は後から示されても構いません。パンフレットとQ&A(Q40)では、正当な理由で決められない項目は、決められない理由と決まる予定日を先に示し、決まったら直ちに示すことになっています。

Q&Aでは、最終的な仕様がまだ決まっていないソフトウェアの作成などが例に挙がっています。受ける側は「その項目はいつ決まりますか」と聞き、返ってきた日付を残しておきます。

足りない取引条件を聞き返す受注確認メールの文例

最初に受けたい気持ちを伝え、確かめたい項目だけを番号で並べ、日付や金額で答えられる聞き方にします。法律の名前や「義務」という言葉は、相手を責めているように読めるので文面には入れません。

返信の文例(架空の依頼への返事)

ご連絡ありがとうございます。
ぜひお受けしたいと考えております。
進める前に、次の5点だけ確認させてください。

1. スマホ表示への対応の有無、修正の想定回数、公開作業の担当を教えてください。
2. 納品日(公開日とは別に、データをお渡しする日)はいつでしょうか。
3. 納品はテストサーバーへのアップと、ファイルでのお渡しのどちらがよろしいですか。
4. ご確認はいつまでに終えられるご予定でしょうか。
5. 金額は前回と同じ◯◯円(税込)で進めてよいか、お支払い日とあわせてお知らせください。

お手数ですが、ご確認をお願いいたします。

1〜5は、表の③④⑤⑦⑥に対応しています。金額の◯◯には、前回の請求書に書いた額を入れます。

返事がそろったら、受ける条件を1通にまとめて送る

5つの返事が別々のメッセージに散らばると、後から読み返すときに探しにくくなります。返事がそろった時点で、決まった条件を1通にまとめて送り、相手に「この内容で問題ありません」と返してもらいます。この1通と相手の返事を残しておけば、条件の記録はひとつで済みます。

ご回答ありがとうございます。
以下の内容でお受けいたします。

・内容:新サービスLP 1ページ(デザイン・コーディング、スマホ表示対応、修正2回まで)
・納品日:2026年10月30日(金)
・納品方法:テストサーバーへのアップ
・ご確認の期限:納品から5日以内
・金額:◯◯円(税込)/お支払い日:2026年11月30日(月)

相違があればお知らせください。

文例の日付や回数は、架空の返事を入れた例です。実際には相手の返事に書かれた日付と数字をそのまま写します。

金額があいまいなときは見積書を先に出す

「前回と同じくらい」のように額が決まっていないときは、こちらから見積書を出して返事をもらうほうが早く決まります。前回と範囲が違う部分(スマホ表示や修正の回数)を行で分けて書けば、③の業務の内容も同じ書類で確かめられます。見積書に入れる項目は見積書に書く項目にまとめています。

返事の残し方

チャットで返事をもらったら、その画面をスクリーンショットで保存しておきます。Q&A(Q41)では、メッセージが削除されたり見られなくなったりすることがあるため、発注する側と受ける側の双方でスクリーンショットなどで発注内容を保存しておくことが望まれるとしています。

メールやチャットで条件が示された場合でも、受ける側は書面の交付を求めることができ、求められた側は遅滞なく交付することになっています(第3条第2項)。ただし同じ項には、フリーランスの保護に支障を生ずることがない場合を除く、という例外も書かれています。

取引条件のチェック表(スプレッドシートに貼って使える)

8つの項目を行に、「依頼文の記載」「判定」「聞き返すこと」を列にした表です。下の枠をコピーしてスプレッドシートのA1に貼ると、列が分かれた状態で使えます。架空の依頼を8項目と照らし合わせた結果を記入例として入れています。

項目	依頼文の記載	判定	聞き返すこと
①名称	送り主の会社名と担当者名	書いてある	なし
②業務委託をした日	まだ合意していない	まだ無い	なし(返信した日が残る)
③業務の内容	LP1枚、デザインとコーディング	あいまい	スマホ表示・修正の回数・公開作業
④期日	来月頭の公開	あいまい	データを渡す納品日
⑤場所	記載なし	まだ無い	テストサーバーかファイルか
⑥報酬の額と支払期日	前回と同じくらい	あいまい	金額(税込か税抜か)と支払日
⑦検査完了日	記載なし	まだ無い	確認がいつまでに終わるか
⑧支払方法	記載なし	当てはまらない(お金で受け取る前提)	なし

判定は「書いてある」「あいまい」「まだ無い」「当てはまらない」の4つから選びます。返事が来たら、右に「返事の日付」の列を足して日付を書き込みます。

決まった金額は表には書き込まず、チャットの返事をスクリーンショットで残します。誰がいつその金額で答えたかが、後から分かるからです。

チャットで届いた依頼の取引条件をTASKULで洗い出す手順

TASKUL(タスクル)で新しい案件を「依頼文・議事録から自動作成」で作り、同じチャットを貼ると、AIがタスクと案件の概要を作り、あいまいな点に「要確認」と書き添え、着手前の「確認事項」のリストを作ります。8つの項目に当てはまるかどうかは判定しないので、出てきたリストを上の表と見比べて、足りない項目を手で足します。

TASKULで依頼文から案件を作っている画面。AIが依頼内容を読み取り、タスクと案件概要を作っている途中の表示

TASKULでの操作

①新しい案件で「依頼文・議事録から自動作成」を選び、依頼文を貼る

貼り付け欄には、Chatwork・Slack・メールのやり取りをそのまま貼れます。テキストやPDF、画像のファイルを置くこともできます。

②できたタスク・案件概要・確認事項を、表と見比べる

AIへの指示では、案件概要のあいまいな点に「要確認」と書くこと、タスクの期日は依頼文に日付があるときだけ入れることになっています。「来月頭」のような書き方では期日は入りません。

作られる内容は貼るたびに変わるので、表の5つの行がすべて拾われるとは限りません。

③AIが拾わなかった項目を、確認事項に手で足す

着手前の確認事項は、あとから項目を足せます。表で「あいまい」「まだ無い」にした行のうち、リストに無いものを書き足します。

④返事が来たら、確認事項にチェックを入れてメモを書く

確認事項には項目ごとにメモ欄があります。返事の日付と答えの内容を書いておけば、スクリーンショットと合わせて、いつ何が決まったかを後から追えます。

TASKULでできないこと

TASKULのAIは、依頼の内容がフリーランス法の8項目を満たしているかを判定しません。法律や税金について言い切らない設定になっています。先方への返信を自動で送る機能もないので、聞き返す文面は文例をもとに自分で送ります。

貼った依頼文は、AIが読み取るためにサーバーで処理されます。最初は社名や金額を伏せた文面で試すと安心です。

案件の作成と確認事項は、無料プランでも使えます。無料プランは月額0円で、プロジェクト10件まで、AIクレジットは月200です。

手元に届いている依頼を1通貼り、確認事項のリストと上の表を見比べるところまで試せます。TASKULを無料ではじめる

発注書が届かないまま依頼を受けるときの3つの手順

チャットで届いた依頼は、次の3つの順番で確かめます。

  1. 依頼文を8つの項目と1行ずつ照らし合わせ、「書いてある」「あいまい」「まだ無い」「当てはまらない」に分ける
  2. 「あいまい」と「まだ無い」の行だけを、受けたい気持ちを先に書いたうえで番号付きで聞き返す
  3. 先方の返事をスクリーンショットで保存し、日付を控える

条件がそろって作業に入った後、進行中に届く修正の依頼は修正依頼を1行ずつに分ける手順で整理できます。

同じ取引先から続けて依頼が来るなら、決まった支払日や修正回数を取引先ごとに1行で残す顧客管理表に書き写しておくと、次の依頼で同じことを聞き直さずに済みます。

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取引条件の明示についてよくある質問

発注書が届かないまま依頼を受けるときに、よく迷う点をまとめました。

発注書がないまま作業を始めても大丈夫ですか?

取引条件は発注する側が示すことになっていますが、示されないまま始めると、金額や納期が食い違ったときに確かめられる記録が残りません。作業を始める前に足りない項目を聞き返し、返事を残しておくのが確実です。

チャットのメッセージでも取引条件の明示になりますか?

なります。公正取引委員会のQ&Aでは、電子メールのほか、チャットツールやSNSのメッセージ機能で送る方法も認められています。

口約束だけで受けた仕事はどうなりますか?

公正取引委員会のQ&A(Q37)には、仕事を頼むことの合意そのものは口頭でも構わないと書かれています。ただし、取引条件の明示は書面かメール・チャットなどで行う決まりです。

口頭で決まった内容はチャットに書いて送り、相手の返事を残しておきます。

相手が個人のフリーランスでも当てはまりますか?

頼む側がフリーランスでも、事業のための依頼であれば当てはまります。公正取引委員会のパンフレットに、取引条件の明示はフリーランス同士の取引も対象だと書かれています。

あとから内容が詳しく決まったら、もう一度明示が必要ですか?

公正取引委員会のQ&A(Q42)によると、最初の明示で業務の内容が分かる程度に示されていれば、改めて示す必要は必ずしもありません。ただし同じ回答で、決まった内容を伝えて明確にすることが望ましいとしているので、受ける側からも確認の返信を送っておきます。

支払期日はいつまでと決まっていますか?

フリーランス法が当てはまる取引では、支払期日の決め方にも決まりがあります。数え方は納品後の支払期日の数え方で説明しています。この記事で確かめるのは、依頼の時点で具体的な支払日が決まっているかどうかだけです。

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