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ハンドメイド在庫管理表の作り方|材料と作品を分ける9列テンプレートと棚卸の手順

公開日 最終更新日

執筆:TASKUL編集部

ハンドメイド在庫管理表の作り方|材料と作品を分ける9列テンプレートと棚卸の手順

「同じ丸カンをまた買ってしまった」「作ろうとしたらパーツが1個足りず、納期をずらしてもらった」。ハンドメイドの在庫管理がうまくいかない原因は、数え方が雑なことではありません。

材料と作品を1つの表に押し込んでいることです。数える単位も、更新するタイミングも、材料と作品ではまったく違います。この記事では、材料の在庫管理表9列と作品の在庫管理表9列を、そのまま貼り付けられるテンプレートつきで解説します。

複数の販売サイトとイベントに同時に出したときに起きる在庫のズレ、「この数を切ったら買う」という発注点の決め方、そして在庫管理表をそのまま棚卸表として使う方法までを、順に見ていきます。

ハンドメイドの在庫管理は「材料」と「作品」を分けると回り出す

ハンドメイドの在庫管理は、材料の表と作品の表を分けて2枚持つのが出発点です。1枚にまとめたほうが管理は楽に見えますが、実際には逆で、1枚にした表ほど早く更新が止まります。まずは、なぜ分けるのかをはっきりさせておきます。

なぜ1つの表にまとめると続かないのか?

1枚の表に材料と作品を混ぜると、数える単位も更新のタイミングも違う行が並ぶことになり、どちらかの記入が必ず後回しになるからです。材料は買った日に増え、作品を作った日に減ります。

作品は完成した日に増え、売れた日に減ります。増減のきっかけが別々なのに、行だけが同じ表にあると、開くたびに「今日はどっちを直せばいいのか」を判断する手間が発生します。

さらに、1枚にまとめた表は列の数が膨らみます。材料に必要な「入数」と、作品に必要な「販売価格」は、片方の行では常に空欄です。空欄が並ぶ表は、埋め忘れなのか、そもそも要らない欄なのかが見分けられなくなり、数字を信用できなくなります。

材料・作りかけ・作品で数え方が変わる

分ける理由は運用の都合だけではありません。そもそも、数える単位と、数えたあとの扱いが3通りに分かれます。数え方が違うものを同じ列で足し引きしようとするから、途中で計算が合わなくなります。

①材料は個・g・mで数える

丸カンやビーズは「個」、レジン液や粘土は「g」、リボンやチェーンは「m(またはcm)」で数えます。ここで大事なのは、買ったときの単位ではなく、使うときの単位に揃えることです。

100個入りの袋で買ったビーズを「1袋」と記録すると、半分使った時点で在庫数が書けなくなります。袋で買っても、表には「個」で入れます。

②作りかけは工程とセットで数える

作りかけの作品も点で数えますが、点数だけでは意味を持ちません。「土台まで完成が3点」「金具付け待ちが2点」のように、どの工程で止まっているかと点数を必ずセットで書きます。

作品表では⑥状態の括弧に「制作中(金具付け待ち2点)」と工程と点数をまとめて入れ、⑧出せる点数は0のままにします。⑧は出品に回せる数だけを持つ列なので、ここに作りかけを足すと、出せない在庫を数えてしまいます。

③作品は点で数える

完成した作品は「点」で数えます。同じデザインを複数作る場合でも、1行1デザインにして、手元にある点数を1つの数字で持つと管理が軽くなります。1点ものが中心なら、1行1作品で番号を振ってください。

在庫管理をしないと起きる3つの損

在庫管理表を作るのは、几帳面になるためではありません。放っておくと具体的に損をする場面が3つあります。

  • 重複購入:手元にあるのに気づかず同じパーツを買い、使い切れない材料が箱に増えていきます。
  • 材料切れによる納期遅れ:作り始めてから足りないと分かると、取り寄せの日数がそのまま納期の遅れになります。
  • 年末に数がわからない:残っている材料と作品の数が把握できていないと、1年分をまとめて数え直す作業が発生します。

材料の在庫管理表は9列で足りる|そのまま貼れるテンプレート

ハンドメイドの材料を種類ごとに仕切りケースに分けて在庫管理している様子

材料の在庫管理表は9列で足ります。列を増やすほど毎回埋める欄が増え、埋める手間が増えた表は翌月から開かなくなります。だから毎回埋める列は9列までにします。ここでは9列の中身と、そのまま貼り付けられる形を用意しました。

9列の中身と書き方

左から順に並べます。記入例は、アクセサリー作家が丸カンを管理する場合です。

# 列名 書く内容 記入例
① 管理番号 自分で決める通し番号(材料はMなど頭文字を固定する) M-012
② 材料名 あとで自分が検索する言葉で書く 丸カン
③ 規格・色・サイズ 同じ名前でも別物になる情報 4mm・ゴールド
④ 仕入先 買った店やサイト(実店舗か通販かも書く) ◯◯(通販)
⑤ 仕入単価(円) 使うときの単位に割り戻した金額を数字だけで 3
⑥ 購入単位・入数 次に買うときの買い方 100個/袋
⑦ 現在庫数(個・g・m) いま手元にある数を数字だけで 38
⑧ 発注点 この数を切ったら買うという数 20
⑨ 最終更新日 在庫数を書き換えた日 2026-09-01

迷いやすいのは⑤仕入単価です。100個入り300円の袋で買ったなら、袋の値段の300ではなく、1個あたりに割り戻した3を入れます。作品1点の材料費を出すときに、そのまま掛け算で計算できるようにしておくためです。

貼り付け用テンプレート(タブ区切り)

下の3行をコピーして、スプレッドシートやエクセルのA1セルに貼り付けてください。タブ区切りなので、貼った時点で9列に分かれます。2行目・3行目は記入例なので、使い方を確認したら消してかまいません。

管理番号	材料名	規格・色・サイズ	仕入先	仕入単価(円)	購入単位・入数	現在庫数(個・g・m)	発注点	最終更新日
M-012	丸カン	4mm・ゴールド	◯◯(通販)	3	100個/袋	38	20	2026-09-01
M-013	チェーン	1.5mm・シルバー	△△(実店舗)	48	1m単位	2.4	1	2026-09-01

⑤仕入単価と⑦現在庫数の列には、数字だけを入れてください。「円」「個」といった文字が混ざると、合計や掛け算の計算ができなくなります。その行をどの単位で数えているかは、⑥購入単位・入数を見れば分かります。

「100個/袋」なら個、「1m単位」ならmです。同じ行の⑤仕入単価と⑦現在庫数は、必ずこの同じ単位に揃えてください(1mが48円なら、⑦の2.4は2.4mという意味になります)。

作り方は3通り

この9列は、スプレッドシート・エクセル・手書きのどれでも作れます。続けやすさが変わるだけなので、いま手が動くもので始めてください。

①スプレッドシートで作る

スマホからも開けるので、材料を買ったその場で入力できます。上のテンプレートをA1に貼ったあと、1行目のセルを選び、「表示」メニューの「固定」から「1行」を選んでおくと、下にスクロールしても列名が消えません。

材料名の列にフィルタをかけておけば、「丸カン」で絞り込んで規格違いを並べて見られます。

②エクセルで作る

すでにパソコンで作業している人は、エクセルに同じ9列を用意しても問題ありません。貼り付けたあとに列幅を整え、現在庫数と発注点の列だけを見やすくしておくと、開いた瞬間に補充が必要な材料を見つけられます。

ファイルを1つに保つこと、そして保存先をクラウドにしておくことだけ気をつけてください。

③手書きのノートで作る

材料の種類が少なく、何がどれだけあるか頭に入っているなら、ノートでも回ります。1材料1行では書き直しが増えるので、1材料1ページにして、現在庫数だけを消しゴムで書き換える形にします。

パソコンを開く手間がないぶん、記録が続く人もいます。手書きで限界を感じたタイミングで、上のテンプレートに移してください。

作品の在庫管理表も9列|「状態」列で複数販路に対応する

作品側も列の数は9列です。ただし列の数が同じでも、中身は材料表とほとんど入れ替わります。

材料表をコピーして使い回すのではなく、別のシートに新しく作ってください。9列のうち要になるのは⑥の状態の列です。

作品は「完成しているか」だけでなく「いまどこにあるか」で扱いが変わるため、この1列があるかどうかで販路をまたいだ管理のしやすさが決まります。

作品在庫表の9列

# 列名 書く内容 記入例
① 作品番号 通し番号(量産品はA、1点ものはSなど種別で頭文字を決める) A-045
② 作品名 出品ページの名前と揃える ◯◯ピアス
③ 使用材料(管理番号×使用数) 材料表の番号に、1点あたりの使用数を「×使用数」で付ける M-012×4, M-031×1
④ 制作原価(円) 使った材料費の合計を数字だけで 320
⑤ 販売価格(円) 出品している価格を数字だけで 2200
⑥ 状態 制作中/完成/出品中/イベント持出/販売済 の5つから選ぶ(作ったがまだ出品していない状態が「完成」)。作りかけを抱えている行だけ、どの工程で何点止まっているかを(金具付け待ち2点)のように括弧で足す 出品中
⑦ 出している場所 販売サイト名やイベント名 ◯◯(販売サイト)
⑧ 出せる点数 いま出品・販売に回せる完成品の点数(作りかけは0のまま) 2
⑨ 最終更新日 ⑧出せる点数か⑥状態を書き換えた日 2026-09-01

工程の括弧書きは、作りかけを抱えている行に付けます。完成品が1点もなければ⑥状態は「制作中」にして「制作中(金具付け待ち2点)」と書き、⑧出せる点数は0のままにします。

完成品と作りかけが混ざっている量産品は、⑥状態を完成しているほうに合わせて「出品中(ほかに金具付け待ち2点)」のように書き、⑧には完成した点数だけを入れます。並べ替えや絞り込みで拾うときは、括弧の中まで一致させず「制作中」で始まる行としてまとめて選んでください。

委託販売でお店に置いてもらっているあいだも、⑥状態は「イベント持出」を使ってください。手元になく、ほかの人の場所で売れる状態という点はイベントと同じだからです。⑦出している場所に委託先の店名を書けば、イベントと見分けがつきます。

③の使用材料は、材料名ではなく管理番号で書きます。「丸カン」と書くと4mmと6mmのどちらを使ったのか後から分からなくなりますが、M-012と書いてあれば材料表を見るだけで規格まで確定します。

使用数まで書いておくと、この列だけで3つの計算ができます。1つめは④制作原価の計算し直しで、M-012(丸カン・1個3円)を4個なら12円というように、仕入値が変わった年でも材料表の⑤仕入単価から出し直せます。

2つめは発注点の見直しで、次の章で使う「1点あたりの使用数」をここから拾えます。3つめは受注が入ったときの確認で、使用数×注文点数を材料表の⑦現在庫数から引き算して、足りるかどうかをその場で見られます。

作品表の貼り付け用テンプレート(タブ区切り)

作品表も同じ形で用意しました。材料表とは別のシートを作り、A1セルに貼り付けてください。

作品番号	作品名	使用材料(管理番号×使用数)	制作原価(円)	販売価格(円)	状態	出している場所	出せる点数	最終更新日
A-045	◯◯ピアス	M-012×4, M-031×1	320	2200	出品中	◯◯(販売サイト)	2	2026-09-01
S-003	◯◯ブローチ	M-013×0.3, M-028×2	480	3200	制作中(金具付け待ち1点)	—	0	2026-09-01

制作原価と販売価格も、材料表の仕入単価と同じく数字だけを入れます。2行目・3行目は記入例なので、書き方を確認したら消してかまいません。

販売サイトとイベントに同時に出すと何がズレるのか?

ズレるのは手元にある点数と、各販路に出している点数の合計です。同じ作品を複数の販売サイトとイベントの両方に出した場合、販路のあいだで在庫が連動していなければ、片方で売れてももう片方の在庫は減りません。

1点ものであれば、この瞬間に二重販売が起きます。使っている販売サイトに在庫連動の仕組みがあるかどうかは、各サイトのヘルプで確認してください。

ここで必要になるのは、販路ごとの在庫数を持つことではなく、出せる点数を1つだけ持ち、出している場所を状態列で追う運用です。実物は1つしかないので、数字も1つに保ちます。どこに置いてあるかは⑥⑦の2列で表しておけば足ります。

二重販売を防ぐ3つのルール

  • イベントに持ち出す作品は、前日までに販売サイトの公開を止める:状態を「イベント持出」に変え、⑦出している場所に会場名を書いて、その期間は販売サイト側の公開を止めます。量産品を一部だけ持ち出すときも、行は分けません。持ち出しているあいだの⑧出せる点数は、手元と会場を合わせた数のままにします。実物が2か所に分かれている状態で数字だけを分けると、どちらの数も合わなくなるからです。会場から戻ってきた日には、まず会場で売れた点数を⑧出せる点数から引きます。5点のうち2点を持ち出して会場で1点売れたなら、⑧を5から4に直します。そのうえで⑥状態を「出品中」、⑦出している場所を元の販売サイト名に戻し、販売サイト側の公開を再開してください。⑧を直す前に公開を再開すると、手元にない1点を出品したままになります。
  • 売れた連絡が来たら、発送より先に表を直す:⑧出せる点数を売れた点数ぶん減らし、0になった行だけ状態を「販売済」に変えます。1点ものは1回で0になるので、そのまま「販売済」です。発送作業を始めると梱包に気を取られ、表に戻れなくなります。数字を1つ減らすだけの作業なので、梱包前に済ませてください。同じデザインをまた作ったときは、行を増やさずに⑥状態を「完成」(出品を再開したら「出品中」)に戻してから、⑧出せる点数に作った点数を足します。「販売済」のまま数字だけ足すと、その行は棚卸で突き合わせる対象(「完成」「出品中」「イベント持出」の行)から外れたまま、月に一度の整理で販売済の行として別シートへ移されてしまい、在庫があるのに在庫表から消えます。
  • 1点ものと量産品を見分けられるようにする:1点ものは出せる点数が常に1か0です。①作品番号で決めた頭文字(量産品はA、1点ものはS)で並べ替えれば、二重販売が起きる行だけを絞り込めます。

なお、この表は「モノの数」を管理するためのものです。売上や請求の管理までここに載せると列が倍増して続かなくなります。金額の流れを1枚で追いたい場合は、受注から入金までを1枚で管理する案件管理スプレッドシートの列設計を別に用意してください。

材料の在庫管理で材料切れと納期遅れを防ぐには?

材料切れを防ぐ方法は、こまめに在庫を見ることではなく、材料ごとに「この数を切ったら買う」という発注点をあらかじめ決めておくことです。数字を決めておけば、表を眺めて迷う必要がなくなり、週末に発注点を下回った行を拾うだけで買い物リストができます。

発注点(この数を切ったら買う)の決め方

発注点は次の3ステップで出します。勘で決めると、多すぎて材料が余るか、少なすぎて間に合わないかのどちらかになります。

  1. 注文してから届くまでの日数を書き出す:通販なら到着までの日数、実店舗なら買いに行ける曜日までの日数です。
  2. その日数のあいだに作る点数を見積もる:直近1か月に作った点数を30で割って1日あたりの点数を出し、それに1で書き出した日数を掛けます。1か月に24点作っているなら1日あたり0.8点、届くまで5日なら0.8×5で4点です。
  3. 1点あたりの使用数を掛けて、少しだけ上乗せする:ピアスで丸カンを4個使い、到着まで5日、その間に4点作るなら、4×4=16個が下限です。ここに予備を足して20個を発注点にします。

上乗せの幅は、届くまでが長い材料ほど広くとります。海外から取り寄せるパーツと、近所の手芸店で買える糸を同じ基準で持つ必要はありません。

材料切れが起きやすい3つのタイミング

発注点を決めても、次の3つの場面ではすり抜けます。症状から原因を特定できるように表にしました。

症状 起きていること 打ち手
受注が続いたあとに突然なくなる 1点あたりの使用数が多い材料ほど、まとめ買いの注文で一気に減る 複数点の注文を受けた時点で、使用数×点数を先に引き算して残数を確認する
イベント準備の直前に足りなくなる 普段の制作ペースを前提に発注点を決めているため、まとめて作る週に合わない イベントの2週間前に、出す点数ぶんの材料を一度に計算して先に発注する
共通パーツだけがいつも切れる 複数の作品で同じ材料を使っており、1作品ぶんの感覚で発注点を決めている 使用材料の列でその番号を検索し、使っている作品数を数えてから発注点を引き上げる

在庫管理表が続かない人のための更新ルール

表が続かない最大の理由は、更新のタイミングを決めていないことです。「気づいたときに直す」は、忙しい週にまとめて崩れます。材料表を開く場面を先に3つだけ決め、作品表は状態が動いたその場で直すと決めておくと、記録の負担はかなり軽くなります。

更新するのは「仕入れた日・作った日・週末」+作品が動いたその場

  1. 仕入れた日:材料表の現在庫数を増やし、最終更新日を書き換えます。届いた箱を開けたその場でやると、あとから思い出す手間がなくなります。
  2. 作った日:使った材料を引き算し、作品表を直してください。新しいデザインなら1行足します。すでに行がある量産品は、⑥状態が「販売済」になっていれば先に「完成」へ戻し、そのうえで⑧出せる点数に作った点数を足します。同じデザインの行を2つ作ると、⑧の合計と手元の実物が合わなくなります。片付けを始める前、道具がまだ机に出ているうちに済ませてください。
  3. 週末:発注点を下回った材料をまとめて確認し、買い物リストにします。数え直すのはこのときだけでかまいません。

逆に言えば、材料表を毎回決まって開くのは、この3つの日だけで大丈夫です。これに加えて、複数点の注文を受けた日とイベントの2週間前だけは、「材料切れが起きやすい3つのタイミング」で挙げたとおり、その場で残数を計算してください。

作品表は、売れた連絡が来た日と、イベントに持ち出す日・会場から戻った日に、その場で状態の列と⑧出せる点数を書き換えます。ここを後回しにすると二重販売が起きるためです。

毎日見ないと不安になる状態は、表ではなく発注点の決め方に原因があります。制作と事務作業の切り替え方そのものを整えたい場合は、個人事業主が制作と事務を両立させるタスク管理の型もあわせて参考にしてください。

記録をやめていい3つの項目

  • 少額の消耗品を1個単位で数えること:接着剤や梱包材のような消耗品は、現在庫数を数字で追わず、「残りがこれくらいになったら買う」という見た目の目安だけを決めて、その状態になったら買う運用で足ります。数字の発注点を決めるのは、現在庫数を毎回書き換える材料だけでかまいません。これらは材料表に行そのものを作らず、買うものリストのメモにだけ残します。ただし、日々の数を追わないことと、棚卸で書き出さなくていいことは別です。まとめ買いして年末に多く残っている消耗品をどう扱うかは税務署か税理士に確認し、対象に含めると言われたものだけ、数える日に材料表へ行を足して実地棚卸数を書いてください。
  • 販売済み作品の履歴を在庫表に残すこと:売れた行を表に積み上げると行数が膨らみます。状態を「販売済」にした行は、月に一度まとめて別のシートへ移します。
  • 写真の貼り付け:作品の画像は出品ページに載っています。表に画像を入れると1行ごとのデータが重くなり、行数が増えたときにスマホでの表示が遅くなります。

ハンドメイドの棚卸のやり方|在庫管理表に2列足すだけで棚卸表になる

棚卸のためにハンドメイドの材料を数えられる状態に整理した収納ケース

棚卸に時間がかかる原因は、数えるための表を年末に作り始めることにあります。日々使っている在庫管理表に列が2つあれば、そのまま棚卸表として使えます。

在庫管理表をそのまま棚卸表として使う

必要なのは、材料表と作品表の右端に「実地棚卸数」と「差異」の2列を足すことだけです。この2列は毎回埋める列ではなく、数える日だけ使う列なので、普段は空欄のままでかまいません。手順は次のとおりです。

  1. 数える日を決めて、その日は制作を止める:作りながら数えると、数え終わった材料がまた減ります。
  2. 実物を数えて「実地棚卸数」に書く:表に書いてある数は見ないで数えます。先に見ると、その数字に合わせてしまいます。
  3. 差異の列で、表に書いてある数との差を出す:材料表なら⑦現在庫数、作品表なら⑧出せる点数との差で、「実地棚卸数−表の数」で計算します。差が出たら、まず更新を忘れた場面を探します。ただし、数える日に会場や委託先へ出したままの行だけは、更新漏れがなくても差が出ます。会場で売れた点数を⑧から引くのは戻ってきた日と決めているため、まだ戻っていない行の⑧は売れる前の数のままだからです。この行は手順4で実地棚卸数に上書きすれば合います。それ以外の行で出た差は更新漏れなので、どこで漏れたかをメモしておくと、翌年の更新ルールが直せます。なお、括弧に書いた作りかけの点数は⑧に入っていないので、差異は追いません。突き合わせるのは各行の⑧に入っている完成品の点数(状態が「完成」「出品中」「イベント持出」の行)だけです。⑥状態が「制作中」で⑧が0の行は、実地棚卸数の欄に作りかけの点数を書くだけにとどめます。完成品と作りかけが混ざっている行は、実地棚卸数には完成品の点数だけを書き、作りかけは数え直した実数で⑥状態の括弧を書き直して(「出品中(ほかに金具付け待ち2点)」など)残してください。こうすれば、作りかけも数として表に残ります。なお会場や委託先に出したままの行は、差異の欄に符号つきの数ではなく「会場売れ1」のようにメモとして書きます。
  4. 実地棚卸数を表の在庫数に上書きし、最終更新日を入れる:材料表は全行の⑦を実地棚卸数で書き換えます。ただし、手順3で棚卸のためだけに足した消耗品の行は、⑦を空欄のままにしてください。日々の数を追わない行に数字を入れると、翌年になっても古い数が残り続けます。作品表は、手順3で突き合わせた「完成」「出品中」「イベント持出」の行だけ⑧を書き換え、制作中の行は実地棚卸数の欄に数を残したまま⑧を0のままにします。なお、会場や委託先に出したままの行は、この上書きで会場で売れた点数をすでに引いた数になっています。現物が戻ってきた日に、同じ点数を⑧からもう一度引かないでください。戻った日に引くのは、数える日より後に売れた点数だけです。ここで表と実物が一致し、翌年はこの数字から始められます。なお、実地棚卸数と差異の2列は、次に数える日の最初に全行いったん消してから始めてください。前年の数字が残ったままだと、今年数えた数と見分けがつかなくなります。

数える対象で迷ったときの考え方

「作りかけは数えるのか」「イベントに持ち出したまま戻ってきていない作品はどうするのか」で手が止まりやすいところです。表の運用としては、年末の時点で売れていないものは、いったん全部書き出しておくのが安全です。

書き出したうえで対象から外すのは後からでもできますが、書き出していないものは後から数えられません。作りかけは、完成品と同じ⑧出せる点数には足さず、状態を「制作中」にした行の実地棚卸数として別に書いてください。こうしておくと、出品できる点数と、手元にあるだけの点数を分けたまま数えられます。

イベントや委託先に出したまま手元に戻っていない作品は、その場では数えられません。持ち出したときの控えか、預け先への確認で、会場や委託先に残っている点数を先に確かめておきます。

行は分けていないので、実地棚卸数に書くのは会場や委託先の点数だけではなく、手元で数えた点数と足した合計です。5点作って手元に3点を残し2点を持ち出し、会場で1点売れて1点残っているなら、実地棚卸数は3+1で4と書きます。

手元を数える作業とは別に確認が必要なので、預け先への問い合わせは数える日より前に済ませておいてください。確認が取れないうちは実地棚卸数を空欄にし、点数が分かった日に手元の数と足して書き足します。

数を把握しておく必要があるのは、材料費のうち必要経費になるのが「その年の売上に対応するぶんの原価」だからです。国税庁のタックスアンサーNo.2210では、必要経費に算入できる金額について「総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額」と示されています(出典:国税庁 No.2210 必要経費の知識)。

買った材料がその年の売上に対応するぶんかどうかを分けるには、売れ残った材料と作品の数が必要になります。

確定申告の棚卸で、使いかけの材料はどう数える?

使いかけの材料も、年末に手元に残っている分を、残っている量のまま書き出します。国税庁は消費税の解説(No.6491)で、棚卸資産の例として「商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵中の消耗品等」を挙げています(出典:国税庁 No.6491 棚卸資産の範囲)。

作品に使う布・ビーズ・レジンは、この中の「原材料」に近いものです。開封済みかどうかで分ける記述は、国税庁のページには見当たりませんでした。

数え方は、材料の在庫管理表で決めた「使うときの単位」をそのまま使います。ビーズが半袋残っていれば袋ではなく個数で、布が端切れで残っていれば長さで書きます。袋や巻の単位で「1」と書くと、使った分と残った分の区別がつかなくなります。

一方で、作品を送るときの梱包材のような消耗品には別の扱いがあります。所得税基本通達37-30の3では、包装材料などで「各年ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するもの」は、毎年続けて、買った年の必要経費にしているなら認められるとしています(出典:国税庁 所得税基本通達37-30の3)。ただし、この通達の注には「製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入する」とあります。

作品の材料そのものに、この梱包材と同じ扱いが使えるとは限りません。この内容は2026年10月14日に国税庁のページで確かめました。

開封済みの材料を対象に含めるか、どの金額で評価するか、どこまでを消耗品として扱うかといった具体的な判断は、個々の状況で変わります。迷うものは自己判断で決めず、税務署か税理士に確認してください。この記事で扱うのは、確認を受けたときにすぐ数を答えられる表の作り方までです。

棚卸を含めた1年の事務作業をいつやるか決めておきたい方は、確定申告までを年間スケジュールに組み込む手順を参考にしてください。

在庫管理は表とアプリのどちらを使うべき?

スプレッドシートでハンドメイドの在庫管理表を開いたノートパソコンと集計資料

結論として、材料が数十種類までで、販路が1〜2か所なら表で足ります。アプリを検討する価値が出てくるのは、扱う点数が増えて手入力が追いつかなくなってからです。最初からアプリを探すと、選ぶ時間のほうが長くなります。

表で足りるケース/アプリを検討するケース

いまの状況 向いている手段 理由
材料が数十種類・販路が1〜2か所 スプレッドシートの2枚の表 列を自分で決められ、費用がかからない
販路が3か所以上あり、売れた連絡のたびに手で直している 在庫管理アプリの検討を始める 手入力の回数が増えるほど、直し忘れによる二重販売が起きやすくなる
作品数は多いが、販路は自分のイベント中心 表のまま、状態列の運用を整える ズレの原因が販路ではなく持ち出しにあるため、列の使い方で解決できる
表の行数が増えて開くのが重い 表を年ごとに分けるか、アプリを検討する 重さは行数の問題であり、列を減らしても解決しない

在庫管理アプリを選ぶときの3つの確認点

  • 料金の形:買い切りか月額かで、続けたときの負担が変わります。月額なら、在庫管理だけのために毎月払える金額かを先に決めます。
  • スマホで在庫を直せるか:イベント会場や作業机で直せないと、結局あとでまとめて入力することになります。
  • CSVで書き出せるか:手元にデータを残せないと、やめたときに数字が消えます。乗り換えのときにも必要になります。

表とツールの切り替えどきについては、エクセル管理が限界を迎えるタイミングで判断の基準を整理しています。

ハンドメイドの材料はいつ発注する?在庫管理表だけでは決まらない

発注するのは、基本は週末の確認で発注点を下回っていた材料です。これに加えて、まとまった注文を受けた日とイベントの2週間前は、週末を待たずにその場で計算して発注します。ただし在庫管理表が教えてくれるのはここまでで、その注文がいつ届くか、届かないとどの作品の制作が止まるかという日付は、表からは出てきません。

在庫管理表で管理できること・できないこと

役割を分けると迷いません。在庫管理表は「いま何がいくつあるか」だけを持ち、期日のあるものは別に持つという分け方です。

発注、到着後の検品、制作の開始日、イベントへの持ち出し準備は、いずれも日付がある仕事なので、在庫管理表の行としては表現できません。カレンダーでもタスク管理ツールでも、日付で並ぶ場所に置いてください。

フリーランス向けのタスク管理ツール「TASKUL」もその選択肢の1つで、案件ごとにプロジェクトを作り、そこに期日つきのタスクをぶら下げて管理できます。無料プランは月額¥0で、プロジェクト10件まで・AIクレジット200/月の範囲で使えます。

見積書・請求書やクライアント管理も、この無料プランの範囲で使えます。

ただし、TASKULは材料や作品の数量を数えるツールではありません。公式サイトの機能一覧に在庫管理は含まれておらず、この記事の主題である「数の管理」はスプレッドシートの2枚の表で持ったままになります。

在庫の数まで1つのツールにまとめたい人には向きません。また無料プランはプロジェクト10件・AIクレジット200/月が上限なので、抱えている案件がこれを超えると有料プランへの切り替えが必要です。

数はスプレッドシート、期日はタスク側という分担で構わない人だけ、検討してみてください。

よくある質問

在庫管理表は無料で作れますか?

作れます。Googleスプレッドシートであれば費用はかかりません。この記事のタブ区切りテンプレートをA1セルに貼り付ければ、9列の表がその場で出来上がります。

エクセルをすでに持っている場合は、同じ内容をそのまま貼り付けても同じ形になります。

材料は1個ずつ数えないとダメですか?

すべてを1個単位で数える必要はありません。1点あたりの使用数が多い主要な材料と、切れると制作が止まる材料だけを個数で管理し、接着剤や梱包材のような消耗品は、見た目で「これくらいになったら買う」と決めておく方法で足ります。数える対象を絞ったほうが、記録が続きます。

作りかけの作品は在庫に入れますか?

売れていないものは、いったん書き出しておいてください。ただし作品在庫表の⑧出せる点数には混ぜず、状態の列を「制作中」にした行として持ち、どの工程で止まっているかをメモします。

完成品と同じ数字に混ぜると、出せない作品まで出品可能な在庫として数えてしまいます。申告上どこまでを対象にするかは、税務署か税理士に確認してください。

複数の販売サイトに出している分はどう数えますか?

手元にある実物の数を1つだけ持ち、どこに出しているかは「状態」と「出している場所」の2列で表します。販路ごとに在庫数の列を作ると、合計が実物と合わなくなります。実物は1つなので、数字も1つに保つのが基本です。

在庫管理表と売上管理表は分けるべきですか?

分けたほうが続きます。在庫管理表はモノの数を追う表で、売上管理表はお金の流れを追う表です。

更新するタイミングも見る目的も違うため、1枚にすると列が増えて埋まらない欄が出てきます。作品番号を両方の表に持たせておけば、あとから突き合わせられます。

スマホだけで在庫管理できますか?

できます。Googleスプレッドシートはスマートフォンのアプリからも編集できるため、材料が届いたその場や作業机で在庫数を直せます。ただし列幅の調整や新しい列の追加はパソコンのほうが早いので、最初の表づくりだけパソコンで済ませておくと、あとが楽になります。

まとめ

ハンドメイドの在庫管理は、材料の表と作品の表を分けて9列ずつ持つところから始まります。作品表には「状態」の列を置き、手元の実数を1つだけ持って販路のズレを防ぎます。

材料ごとに発注点を決めておけば、材料切れによる納期の遅れは事前に潰せます。材料表を開くのは仕入れた日・作った日・週末の3回に絞り、作品表は売れた連絡が来た日とイベントの前後にその場で直します。

右端に実地棚卸数と差異の2列を足しておけば、年末の棚卸はその表のまま進められます。まずはテンプレートを貼り付けて、いま手元にある材料を10種類だけ入力してみてください。

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TASKUL編集部

TASKUL(タスクル)の編集チーム

フリーランスや制作会社向けのタスク管理ツール「TASKUL(タスクル)」の編集チームです。複数の案件を抱える制作者から寄せられる、段取り・見積・請求の困りごとをもとに記事を書いています。

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