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フリーランスの値上げ交渉メール例文3つ|取引先ごとにいつから上げるかの決め方

公開日

執筆:TASKUL編集部

フリーランスの値上げ交渉メール例文3つ|取引先ごとにいつから上げるかの決め方

「フリーランスで続けて頼んでくれている取引先に、単価を上げたいとどう切り出せばいいか分からない」「値上げ交渉のメール例文を見ても、取引先が何社もあると、誰に・いつから上げればいいのか決まらない」。どちらも、メールを書く前に手が止まる悩みです。

フリーランスの値上げ交渉は、取引先ごとに「どの単価を・いつから・進行中の案件はどうするか」を表で決めてから、1社に1通ずつメールで伝えます。この3つが1通に入っていれば、相手は社内で検討しやすく、後から「その案件も上がるの?」と揉めることも減ります。

この記事は、Web制作やデザインを直接受けていて、継続の取引先が複数あるフリーランス向けです。架空の料金表5行の新旧対照表、架空4社の改定表、取引先の種類別のメール例文3種類(4通)と、断られたときの返信を載せました。

エージェント経由で月単価を交渉するエンジニアの方や、逆に値下げを頼まれた方向けではありません。値下げを頼まれたときは見積の値下げを頼まれたときの組み直し方の記事にあります。

最後に、料金表を直して次の見積から新しい単価にする方法を、TASKUL(タスクル)でできないことと合わせて紹介します。

フリーランスの値上げ交渉メールの例文|送る前に決める3つのこと

値上げ交渉メールの基本の文面は次のとおりです。取引先ごとに「どの単価を・いつから・進行中の案件はどうするか」の3つを決めてから、〇〇の部分を埋めます。

件名:料金改定のご相談(〇〇・20XX年〇月ご発注分から)

〇〇株式会社
〇〇様

いつもお世話になっております。〇〇です。
本日は料金改定のご相談でご連絡しました。
〇〇(作業がどう増えたか)のため、次の単価を改定させていただきたく存じます。

・対象:〇〇
・単価:〇〇円 → 〇〇円(税抜)
・適用:〇月〇日以降のご発注分から

現在進めている案件は、お見積りの金額のままお受けします。
お手数ですが、〇月〇日までにご意見をいただけますと幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。

取引先の種類ごとの全文は、後半の例文3つに載せています。送る前に決める3つは次のとおりです。決めないまま「料金を見直させてください」とだけ送ると、相手は何がいくら上がるのか分からず、返事のしようがありません。

  1. どの単価を上げるか(料金表のどの行か)
  2. いつから上げるか(何月の発注分から、何日以降に出す見積からか)
  3. 進行中の案件と、すでに出した見積はどうするか

メールにしておくと、上げる項目・新しい単価・適用の開始日が文字で残ります。相手が「一度話したい」と返してきたら、そこで電話や打ち合わせに切り替えればよく、最初の1通はメールで足ります。

この記事では、上の3つを決める順に、料金表の新旧対照表 → 取引先ごとの改定表 → メール例文と進めます。例の料金表・取引先・金額・日付はすべて架空で、単価はすべて税抜です。

値上げする単価の決め方|料金表の行ごとに新旧を並べる

上げる単価は、料金表の行ごとに今と新しい単価を並べて決めます。「全体を一律に上げる」と決めると、手間が増えていない行まで上がり、理由を説明できない行が出ます。料金表そのものの作り方は料金表の作り方の記事にあります。

この記事で使う架空の料金表の新旧対照表です。

料金表の行 単位 今の単価 新しい単価 差額 上げ幅
トップページ デザイン ページ 80,000円 90,000円 10,000円 12.5%
下層ページ デザイン ページ 30,000円 35,000円 5,000円 16.7%
下層ページ コーディング ページ 20,000円 24,000円 4,000円 20.0%
更新作業 時間 5,000円 6,000円 1,000円 20.0%
月額保守(更新・バックアップ・月次報告) 式/月 30,000円 33,000円 3,000円 10.0%
値上げの単価は料金表の行ごとに決めることを示す図。下層ページ コーディングを20,000円から24,000円へ、差額+4,000円。理由は2026年からスマホ表示の確認を2機種増やしたこと
下層ページ コーディングの行は、20,000円から24,000円へ4,000円上げます。理由は、2026年からスマホ表示の確認を2機種増やしたことです(架空の料金表)。

差額と上げ幅を行ごとに出す

差額は「新しい単価−今の単価」、上げ幅は「差額÷今の単価」で出します。下層ページ コーディングなら、24,000円−20,000円=4,000円、4,000円÷20,000円=20.0%です。

上げ幅の列は、自分の料金表の中で見比べるために出しています。この例では、下層ページ コーディングと更新作業が20.0%で、月額保守の10.0%の倍です。業種や仕事の中身で違うため、何%までなら妥当という決まった目安はありません。

上げ幅が大きい行ほど、次の「理由」をはっきり書けるかを確かめます。理由が書けない行は、今回は上げない行に回すのも1つの決め方です。

上げる理由を行ごとに1つ書いておく

理由は、その行の作業が前と比べてどう増えたかで書きます。この例では、次のように1行に1つです(理由も架空です)。

料金表の行 上げる理由(架空)
トップページ デザイン 提案するデザイン案を1案から2案に増やした
下層ページ デザイン スマホ用のデザインを別に作るようにした
下層ページ コーディング 2026年からスマホ表示の確認を2機種増やした
更新作業 更新後に表示の確認をする端末を増やした
月額保守 バックアップの保管期間を延ばし、月次報告に表示速度の結果を足した

「相場が上がっているので」は理由にしません。どこの相場かを聞かれたときに出せる数字がなければ、話がそこで止まります。自分の作業がどう増えたかなら、相手も確かめられます。

フリーランスの単価交渉のタイミング|取引先ごとに適用開始と伝える日を決める

適用の開始は、取引先ごとに「続いている仕事の区切り」に合わせて決めます。月額保守なら契約の更新月、毎月の発注なら月の初め、単発の依頼なら改定日以降に出す見積からにします。

例では、今日を2026年11月上旬とし、料金表を新しくするのは「2027年1月1日以降に出す見積から」と決めました。そのうえで、架空の4社それぞれに当てはめたのが次の表です。

取引先(架空) 続いている仕事 上げる項目 適用開始 伝える日 進行中・見積済みの扱い
A社(整体院) 月額保守 30,000円・取引3年・契約は毎年4月更新 月額保守 2027年4月分から 33,000円 2026年11月30日まで 3月分までは30,000円のまま
B社(制作会社) 下層ページ コーディングを毎月4ページ前後 下層ページ コーディング 2027年1月1日以降の発注分から 24,000円 2026年11月30日まで 12月中の発注分は20,000円
C社(工務店) サイトの下層ページの更新を年2回 下層ページ デザイン・更新作業 2027年1月1日以降に出す見積から 2026年11月30日まで 11月に出した見積(有効期限 2026年12月15日)は今の単価で受ける
D社(美容室) 取引開始から半年・今は新しいサイトを制作中(2026年12月納品) 据え置き 2027年7月1日以降の見積から(予告のみ) 2026年11月30日まで 制作中の案件は今の見積どおり

同じ料金表でも、上げる項目と始まる月は4社でばらばらです。B社は毎月4ページ前後の発注なので、月4ページなら80,000円が96,000円になり、月16,000円の増です。

メールにこの金額を1行入れておけば、B社は月の支払いがいくら変わるかをすぐ確かめられます。

値上げの適用開始を取引先ごとに決めることを示す図。2027年1月にB社は発注分から・C社は見積から、2027年4月にA社の月額保守、2027年7月にD社は見積から
始まる月は、B社・C社が2027年1月、A社が4月、D社が7月です。新しい単価にするきっかけは、B社が発注、C社とD社が見積、A社が保守契約の更新です。

進行中の案件・出した見積・月額保守の扱い

すでに金額で合意したものは今の単価のまま、これから金額を決めるものから新しい単価にします。仕事の状態ごとに分けると、次の4つです。

仕事の状態 適用する単価 例の取引先
進行中の案件(見積で合意済み) 今の見積どおり。途中で上げない D社の制作中のサイト
出した見積(返事待ち・有効期限内) 有効期限までに発注があれば今の単価で受ける C社の11月の見積(有効期限 2026年12月15日)
月額保守 契約の更新月から新しい単価 A社(2027年4月分から)
これからの依頼 改定日以降に出す見積・発注から新しい単価 B社(2027年1月1日以降の発注分から)・C社

進行中の案件の単価を途中で上げたいときは、相手との合意が要ります。値上げのメールで、合意済みの案件まで上げる書き方はしません。相手が一番気にするのは「今お願いしている分はどうなるのか」なので、ここを1通の中で先に答えておきます。

伝える日を、見積の有効期限と保守契約の更新月から逆算する

伝える日は、取引先ごとの区切りから逆に数えて決めます。例の4社の伝える日を2026年11月30日にそろえたのは、次の2つを両方満たす日だからです。

  • C社:11月に出した見積の有効期限が2026年12月15日。期限より前に伝えれば、C社は今の単価で発注するか、1月以降に新しい単価で頼むかを選べる
  • A社:契約は毎年4月に更新。11月30日に伝えれば、更新まで4か月あり、A社は更新するかどうかを考える時間が取れる

B社も、12月中の発注分は20,000円のままなので、11月中に伝えれば12月の発注を前倒しするかどうかを決められます。ここでの日付は、この例の見積と契約から出したもので、「何日前に伝えるのがよい」という決まりではありません。

自分の見積の有効期限と、保守契約の更新月を並べて、同じように逆算します。

TASKULの「全てのタスク」で、サンプル整体院・株式会社サンプル制作・株式会社サンプル工務店・サンプル美容室の4社のプロジェクトに、料金改定のご相談を送る(D社は料金改定の予告を送る)のタスクが期日2026/11/30で並んでいる画面
4社のプロジェクトに、伝える日の2026年11月30日を期日にして「料金改定のご相談を送る」(D社は予告)のタスクを入れた「全てのタスク」の画面です。データは架空です。

上げない取引先も決めておく

D社は取引を始めてまだ半年で、10月に今の単価で見積を出したばかりです。制作中のサイトは12月に納品するので、そこから半年は据え置き、2027年7月1日以降の見積から新しい単価にする、と決めました。

据え置く取引先にも、何も伝えないのではなく「いつから変わる予定か」だけを先に知らせておきます。7月以降の見積で初めて新しい単価を見て、「何も知らされていなかった」と相手が戸惑うのを防げます。

料金表を改定するたびに、この表を取引先1社に1行ずつ作り直します。

値上げ交渉のメール例文3つ|取引先の種類で変える

例文は、単発の依頼が続いている取引先・月額保守の取引先・今回は上げない取引先の3種類・4通です。値上げをお願いする例文1・2には、次の5点を入れています。例文3は時期の予告だけです。

  1. 上げる項目(何の単価か)
  2. 今の単価と新しい単価
  3. 適用の開始(何月の発注分から・何日以降の見積から)
  4. 進行中の案件と出した見積の扱い
  5. 相談の受け付けと、返事の期限
B社への値上げ交渉メール例文の要点を示す図。対象:下層ページ コーディング(1ページ)、単価:20,000円 → 24,000円(税抜)、適用:2027年1月1日以降のご発注分から、12月中のご発注分は今の単価20,000円、月4ページなら80,000円から96,000円、12月11日(金)までにご意見を
B社への例文の要点です。上げる項目・新旧の単価・適用の開始・12月中の発注の扱い・返事の期限の5点が入っています。

差出人の「山田」、宛先の会社名と担当者名、金額はすべて架空です。自分の料金表と改定表に置き換えて使ってください。

例文1:単発の依頼が続いている取引先へ(B社・C社)

毎月の発注や年に数回の依頼が続いている取引先には、上げる項目を絞って伝えます。B社とC社では、適用の区切りが「発注」と「見積」で違うので、2通に分けました。

B社への文面(毎月の発注分から上げる)

項目 文面
件名 料金改定のご相談(下層ページ コーディング・2027年1月発注分から)
本文 株式会社サンプル制作
佐藤様

いつもお世話になっております。山田です。
毎月の下層ページのコーディングを継続してご依頼いただき、ありがとうございます。

本日は料金改定のご相談でご連絡しました。
今年から、スマホ表示の確認を2機種増やして納品しており、作業が増えた分を単価に反映させていただきたく存じます。

・対象:下層ページ コーディング(1ページ)
・単価:20,000円 → 24,000円(税抜)
・適用:2027年1月1日以降のご発注分から
・12月中のご発注分は、現行の単価20,000円でお受けします

月4ページのご依頼の場合、80,000円から96,000円になります。
ご予算の都合などで難しい点があれば、ご相談させてください。
お手数ですが、12月11日(金)までにご意見をいただけますと幸いです。

今後ともよろしくお願いいたします。

件名に「ご相談」と入れ、返事の期限を書いて、相手が意見を返せる余地を残します。「1月から上げます」とだけ書くと、相手は決まったことの知らせとして受け取ります。

C社への文面(出した見積は今の単価で受ける)

項目 文面
件名 料金改定のご相談(2027年1月以降のお見積りから)
本文 株式会社サンプル工務店
鈴木様

いつもお世話になっております。山田です。
サイトの更新を毎回ご依頼いただき、ありがとうございます。

本日は料金改定のご相談でご連絡しました。
スマホ用のデザインを別に作るようにしたことと、更新後に表示を確認する端末を増やしたことから、次の2つの単価を改定させていただきたく存じます。

・下層ページ デザイン(1ページ):30,000円 → 35,000円(税抜)
・更新作業(1時間):5,000円 → 6,000円(税抜)
・適用:2027年1月1日以降にお出しするお見積りから

11月にお送りしたお見積り(有効期限 2026年12月15日)は、期限までにご発注いただければ、お見積りの金額のままお受けします。
ご不明な点やご相談があれば、12月11日(金)までにお知らせいただけますと幸いです。

今後ともよろしくお願いいたします。

C社には、出したばかりの見積がどうなるかを1段落で書いています。見積の有効期限と金額をそのまま守ると書いておくと、相手は今の見積で発注するかを落ち着いて決められます。

例文2:月額保守の取引先へ(A社・契約の更新月から)

月額保守は、契約の更新月から上げます。今回の改定で新しく作業を増やすわけではないことを明記し、何に対する金額かが分かるようにします。

項目 文面
件名 月額保守料の改定のご相談(2027年4月の契約更新から)
本文 サンプル整体院
高橋様

いつもお世話になっております。山田です。
3年にわたりホームページの保守をお任せいただき、ありがとうございます。

本日は、来年4月の契約更新に合わせた保守料の改定のご相談です。
バックアップの保管期間を延ばし、月次報告に表示速度の結果を加えたことから、保守料を次のとおり改定させていただきたく存じます。

・月額保守料:30,000円 → 33,000円(税抜)
・適用:2027年4月分から
・2027年3月分までは、現行の30,000円から変わりません
・すでに増やした作業(バックアップの保管期間・表示速度の報告)を続けるための改定で、ほかの保守内容は変わりません

ご不明な点があれば、ご遠慮なくお知らせください。
12月11日(金)までにご意見をいただけますと、更新の準備が進めやすくなり助かります。

今後ともよろしくお願いいたします。

月額保守の改定は、契約書の更新・解約の条項を読んでから送ります。契約期間の途中で保守料を変える取り決めになっていなければ、更新月より前には上げません。

金額を据え置いて範囲を見直す場合

保守料を上げる代わりに、範囲を減らして金額を据え置く選び方もあります。たとえば月次報告を毎月から3か月に1回にする、更新の回数に上限を付ける、などです。範囲の決め方は保守の範囲を決める月次報告書の記事にあります。

例文3:今回は上げない取引先へ(D社・時期だけ予告)

据え置く取引先には、短く予告だけを送ります。上げる理由を長く書くと、今すぐ値上げをお願いしているように読めるためです。

項目 文面
件名 料金表の改定の予定についてのお知らせ(2027年7月以降のお見積りから)
本文 サンプル美容室
田中様

いつもお世話になっております。山田です。
新しいサイトの制作をご依頼いただき、ありがとうございます。

2027年1月から、料金表の一部の単価を改定する予定です。
貴店には、2027年7月1日以降にお出しするお見積りから新しい単価でご案内いたします。
いま進めているサイトの制作は、10月にお出ししたお見積りのとおりで変わりません。

改定後の単価は、7月以降に最初のお見積りをお送りする際にあらためてご説明します。
引き続きよろしくお願いいたします。

B社・C社・A社の3通は骨組みが同じで、変わるのは上げる項目と日付、それに進行中の仕事や出した見積の扱いです。D社への予告は、新しい単価を書かずに時期だけを伝えます。取引先が4社なら、改定表の各社の行を見ながら4通を書き分けることになります。

値上げを断られたら?3つの返し方

断られたら、①範囲を減らして同じ金額にする ②適用を先にずらす ③その取引先だけ据え置く、の3つから選んで返します。どれを選んでも、合意した中身は次の見積を作る前に記録しておきます。

返し方 中身(B社の例) 向いている場面
①範囲を減らして同じ金額 1ページ20,000円のまま、スマホ表示の確認を前の機種数に戻す 増やした作業を相手が求めていなかった
②適用を先にずらす 24,000円にするのを2027年1月から4月の発注分に移す 相手の予算がすでに決まっている
③その取引先だけ据え置く B社は当面20,000円のまま。料金表は24,000円に直す 取引の量が多く、今の単価でも続けたい

①は、値下げを頼まれたときの考え方と同じです。範囲から外す作業の選び方は、値下げを頼まれたときに削る範囲を決める表の記事にあります。

値上げを断られたときの3つの返し方をB社の例で示す図。増やした作業を相手が求めていなかったら1ページ20,000円のままスマホ表示の確認を前の機種数に戻す、予算が決まっていたら24,000円にするのを2027年1月から4月の発注分に移す、取引の量が多く今の単価でも続けたいならB社は当面20,000円のまま料金表は24,000円に直す
断られた理由ごとに、B社の例でどう返すかを並べました。

断られたときの返信例文(②適用を先にずらす)

項目 文面
件名 Re: 料金改定のご相談(下層ページ コーディング・2027年1月発注分から)
本文 株式会社サンプル制作
佐藤様

お世話になっております。山田です。
ご予算がすでに決まっているとのこと、ご事情を教えていただきありがとうございます。

それでは、下層ページ コーディングの24,000円(税抜)への改定を、2027年4月1日以降のご発注分からに変更させていただけないでしょうか。
2027年3月中のご発注分までは、現行の20,000円でお受けします。

この形でよろしければ、その旨をご返信いただけますと幸いです。
引き続きよろしくお願いいたします。

返信では、相手が断った理由を一度受け止めてから、ずらした日付を1つだけ出します。日付を複数並べると、また相談のやりとりが1往復増えます。

その取引先だけ今の単価で見積を出すとき

③を選んだら、料金表は新しい単価に直し、その取引先の見積だけ、明細の単価を今の単価に手で戻します。料金表を取引先ごとに分けると、どれが最新か分からなくなるためです。

そのうえで、合意した単価と、いつまで据え置くかを取引先の記録に残します。「B社:下層ページ コーディング 20,000円で据え置き(2027年は見直さない・12月のメールで合意)」のように、取り決めの出どころと有効期間を1行で書いておくと、次の見積で迷いません。

残し方は取引先ごとの取り決めを残す顧客管理表の記事にあります。

フリーランス法・取適法と値上げ交渉|取引先に求められていること

どちらの法律も、発注する側(取引先)が守る決まりです。フリーランス法について、公正取引委員会は、コストの値上がりを考えず協議もせずに据え置くことを、買いたたきに「該当するかも」と説明しています(下の特設ページ)。

取適法では、取引先に協議に応じることと、受け入れない理由の説明が求められています。ただし、自分の取引先が対象になるかは、取引先と取引の条件で決まります。

公正取引委員会のフリーランス法の特設ページでは、発注事業者がフリーランスに「1か月以上の業務を委託した場合には、7つの行為が禁止」とされ、その4つ目が「買いたたき(類似品等の価格または市価に比べて、著しく低い報酬を不当に定めること)」です。同じページは、原材料費などのコストの値上がりを考えず、協議もせずに今までどおりの金額で発注したことがある場合を、「買いたたきの禁止」に「該当するかも」という書き方で挙げています。このページでの「フリーランス」は、業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないものを指します。

もう1つは、下請法を改正した取適法(施行期日:令和8年1月1日)です。公正取引委員会のよくある質問のQ134とQ135には、受ける側から代金の引上げを求められたときの扱いが書かれています。

  • Q134:要請額を受け入れられないときは「その理由や考え方の根拠を十分に説明することが必要」。必要な説明や情報の提供をせず一方的に代金を決めることは、本法違反になる
  • Q135:協議の求めに応じずに、申し入れた引上げ額を下回る額を一方的に決めると、協議に応じない一方的な代金決定に「該当するおそれがある」

つまり、取引先が値上げを受け入れないこと自体は違反ではありません。取適法で求められているのは、協議に応じることと、受け入れない理由の説明です。

取適法が自分の取引に当てはまるかは、取引先と自分の資本金・従業員数、取引の種類で決まるので、取引によっては対象外です。基準は公正取引委員会のページで確かめてください。

値上げのメールに法律の名前を書いて迫ることは勧めません。この記事の例文のように、件名と本文で「ご相談」と書き、返事の期限を示して協議をお願いするところまでで十分です。

値上げしたあとの見積書はどう作る?|TASKULのマイ料金表で次の見積から新しい単価に

値上げの作業は、①料金表の5行に新しい単価を書く ②4社の改定表を作る ③伝える日までに4通を送る ④改定日以降の見積を新しい単価で作る ⑤据え置く取引先の単価を記録する、の5つです。このうちTASKULでできるのは、④の見積にマイ料金表の単価を入れること、③の送る日をタスクの期日で管理すること、⑤の記録をクライアントの「メモ」に残すことです。

②の改定表とメールの文面は手で作り、据え置く取引先の見積の単価も手で直します。

マイ料金表と見積書は、TASKULのFreeプラン(プロジェクト10件まで・AIクレジット月200)で使えます。

手順:料金表の単価を直し、改定日以降の見積に入れる

  1. 左のメニューの「見積書」を開き、「マイ料金表」タブに料金表の5行を入れる。単位は「式・ページ・時間・件・個」から選びます。「式/月」は無いので、月額保守は単位を「式」にして、備考に「月額」と書きます
  2. 取引先ごとのプロジェクトに「料金改定のご相談を送る」というタスクを作り、期日を伝える日(2026年11月30日)にする
  3. 「クライアントリスト」で取引先を開き、「クライアント情報」の「メモ」に、合意した単価と適用開始日を書いて「保存する」を押す
  4. 改定日(例では2027年1月1日)になったら、「マイ料金表」の単価の欄を新しい単価に書き換える。入力した単価は、その場で保存されます。備考に「2027年1月改定(旧20,000円)」のように前の単価を書いておくと、後から見返せます
  5. 改定日以降に届いた依頼を案件にし、「見積」タブで「見積書を作成」を押す。タスク名にマイ料金表の作業名が含まれる行に、新しい単価が入ります
TASKULのマイ料金表で、トップページ デザイン90,000、下層ページ デザイン35,000、下層ページ コーディング24,000、更新作業6,000、月額保守(更新・バックアップ・月次報告)33,000に書き換え、備考に2027年1月改定(旧80,000円)などの前の単価を書いた画面
「マイ料金表」の5行を新しい単価に書き換え、備考に前の単価を書いた画面です。月額保守は単位を「式」にして、備考に「月額」と書いています。データは架空です。
TASKULのクライアント情報の画面。クライアント名 株式会社サンプル制作、メモに料金改定(2026年12月のメールで合意)、下層ページ コーディング:20,000円 → 24,000円(税抜)、2027年1月1日以降の発注分から。12月中の発注分は20,000円と入力し、保存するボタン
手順3の画面です。取引先の「クライアント情報」の「メモ」に、合意した単価と適用開始を書いて残せます。この画面はB社が値上げに応じた場合の書き方です。データは架空です。

手順5で入る単価は、タスク名に料金表の作業名が含まれる最初の行から入り、数量は1です。B社から1月に4ページの発注があった場合、「下層ページ コーディング(会社概要)」のようにタスクを4つに分けると、24,000円の行が4行でき、小計は96,000円になります。

1行にまとめるなら、数量を4に直します。料金表の作業名を含まないタスク(打ち合わせや納品など)は0円の行になるので、行の右にあるゴミ箱のアイコンで消すか単価を手で入れます。

TASKULの見積タブで「見積書を作成」を押した直後の明細。下層ページ コーディング(会社概要・サービス紹介・料金・お問い合わせ)の4行に単価24,000が入り、小計¥96,000、消費税(10%)¥9,600、合計金額(税込)¥105,600
B社の1月発注分(4ページ)で「見積書を作成」を押した直後です。タスク4件が明細の4行になり、改定後の単価24,000円が入って小計は96,000円です。品目名の欄は幅が狭く、「(会社概要)」などの後半は隠れていますが、全文が入っています。データは架空です。

マイ料金表の単価が自動で入るのは「見積書を作成」のときだけで、請求書には使われません。A社の3月分までの保守の請求は、1月に料金表を直しても30,000円のまま作れます。

見積書の単価は、「見積書を作成」を押した時点の料金表の値で明細に書き込まれます。料金表を後から直しても、作成済みの見積書の単価は変わりません。

C社に11月に出した見積は、1月に料金表を直したあとも今の単価のままです。見積書は1案件に1通で、送るときは見積のリンクを出して自分のメールに貼ります。

新しい単価で作った最初の見積を送るメールの書き方は、Web制作の見積書を送るメールの記事にあります。

TASKULでできないこと

やりたいこと TASKULでの扱い
取引先ごとに違う単価を持つ できない。マイ料金表は1つだけで、取引先の欄が無い
改定日を予約して、その日から新しい単価にする できない。適用開始日の欄は無い。改定日に自分で単価を書き換える
単価の変更履歴を見る できない。前の単価は、マイ料金表の備考か、この記事の新旧対照表のような表に自分で残す
据え置く取引先の見積だけ今の単価にする 自動ではできない。料金表を直した日から、どの取引先の案件で「見積書を作成」しても新しい単価が入るので、D社などの見積は明細の単価を手で直す
別のパソコンやブラウザで同じ料金表を使う 同じ料金表は出ない。マイ料金表は入力したブラウザに保存され、別の端末やブラウザで開くと空のまま。改定はいつも使うブラウザで行う
値上げのメールを取引先に送る しない。文面は自分のメールで送り、TASKULでは送る日をタスクの期日で管理する

取引先ごとに単価表を分けて、自動で使い分けたい方には、今のTASKULは向きません。

同じ作業名の行を「(D社)」付きで足して取引先ごとの単価を持たせる方法は使えません。タスク名に含まれる作業名のうち料金表の上にある行が先に当たるため、行の順番しだいで別の取引先の単価が入ります。

取引先が増えて、改定のたびに料金表と見積の単価を見比べる手間が増えてきたら、TASKULのFreeプランで、マイ料金表を入れて次の見積を新しい単価で作る流れを試せます。

フリーランスの値上げ交渉についてよくある質問

値上げは電話と面談、メールのどれで伝えればいいですか?

最初の1通はメールで、上げる項目・新しい単価・適用開始・進行中の扱い・返事の期限の5点を文字で残します。相手から「話したい」と返事が来たら、電話や打ち合わせで話します。

何%まで上げていいですか?

何%までなら妥当という決まった目安はありません。料金表の行ごとに理由と差額を書き、理由を説明できる行だけを上げます。

値上げしたら取引を切られませんか?

切られないとは言い切れません。だからこそ、上げない取引先と、取引先ごとの適用の時期を先に決めておき、断られたときの3つの返し方も用意しておきます。

進行中の案件にも新しい単価を適用していいですか?

見積で合意した金額は、合意どおりにします。途中で単価を変えるなら、相手との合意が要ります。値上げのメールには、進行中の案件は今の見積どおりと書いておきます。

月額保守だけ上げたいときはどうすればいいですか?

契約の更新月から上げます。送る前に契約書の更新・解約の条項を読み、更新までに考える時間が取れる日に伝えます。何に対する改定か(すでに増やした作業か)も本文に書きます。

まとめ|値上げは取引先ごとに、上げる項目と適用開始を決めてから伝える

この記事のまとめ

  • 料金表の行ごとに今と新しい単価を並べ、差額と、作業がどう増えたかの理由を1行ずつ書く
  • 取引先ごとに、上げる項目・適用開始・伝える日・進行中の案件と出した見積の扱いを改定表に書く。上げない取引先も1行入れる
  • メールは取引先の種類で書き分け、5点(上げる項目・新旧の単価・適用開始・進行中の扱い・返事の期限)を入れて「ご相談」として送る
  • 断られたら、範囲を減らす・適用をずらす・その取引先だけ据え置く、から選び、合意した単価と期間を記録する

料金表を入れておけば、改定日以降の見積は新しい単価で作れます。TASKULのFreeプランで、マイ料金表から見積を作る流れを試せます。

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執筆

TASKUL編集部

TASKUL(タスクル)の編集チーム

フリーランスや制作会社向けのタスク管理ツール「TASKUL(タスクル)」の編集チームです。複数の案件を抱える制作者から寄せられる、段取り・見積・請求の困りごとをもとに記事を書いています。

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