料金表の作り方5ステップ
この記事で作るのは、自分の仕事の料金表です。相場の金額は載せていません。単価そのものの出し方は、5ステップの④で説明します。
料金表は、手元にある過去の見積書と請求書から作ります。品目をゼロから考えるより、実際に受けた仕事から書き出すほうが漏れが出ません。
①過去の見積書と請求書から品目を書き出す

直近の見積書と請求書を3〜5通開き、明細の行をすべて書き出します。同じ作業に別の名前が付いていたら、1つの名前にそろえます。
たとえば「TOPデザイン」「トップページデザイン制作」「トップデザイン一式」は、「トップページデザイン」にまとめます。
名前をそろえるのは、次の依頼でどの行を使うかを迷わないためです。料金表をツールに登録して見積書を作る場合も、品目名がそろっていないと単価が正しく入りません。
②品目を「1つの作業=1行」に分ける
1行には1つの作業だけを書きます。「LP制作一式」のようなセット料金で受けることが多い場合も、中身の作業(デザイン・コーディング・フォーム設置など)の行は別に持っておきます。
セット料金の行だけでは、含む範囲を書けないからです。一式の中に何が入っているかを説明できないと、追加の依頼が来たときに別料金かどうかを判断できません。
セット料金を載せるなら、中身の行を組み合わせた金額にしておくと、内訳を聞かれたときに答えられます。
③品目ごとに単位を決める
単位は、その作業の量を何で数えるかです。式・ページ・時間・件・個の5つがあれば、Web制作の品目はほぼ表せます。
④単価を入れる
単価は、その作業にかかる時間に、自分の時間単価をかけて出します。過去の案件で実際にかかった時間が分かれば、その時間を使います。時間単価の決め方と工数の数え方は、工数と時間単価から単価を出す方法で詳しく説明しています。
料金表には税抜の単価を書き、列の名前に「税抜」と入れておきます。サイトに載せる場合の書き方は、この記事の「料金表をサイトに載せるときの書き方」で説明します。
作った料金表の単価を後から上げて、続いている取引先に伝えるときの段取りと文面は、フリーランスの値上げ交渉メール例文の記事にあります。
⑤「含む範囲」と「含まない(別料金)」を書く

品目ごとに、その金額に何が入っていて、何が入っていないかを書きます。書く内容は主に次の3つです。
- 修正回数(例:修正2回まで)
- 素材の扱い(写真や原稿を支給してもらうのか、こちらで用意するのか)
- 数え方(何ページ、何サイズ、入力項目はいくつまで)
「含まない(別料金)」の列には、頼まれやすいのに金額に入っていない作業を書きます。デザインなら写真撮影やイラスト制作、WordPressなら投稿の種類の追加などです。この列があれば、依頼が範囲を超えたときに「その作業は別料金です」と、料金表を見せながら伝えられます。
修正の「1回」を何で数えるかは、修正回数の「1回」の数え方と上限の決め方を見てください。
フリーランスの料金表とは?見積書との違い
料金表は、依頼が来る前に作っておく品目の一覧です。見積書は、届いた依頼1件ごとに金額と条件を書く書類で、料金表の行を組み合わせて作ります。
料金表を作る2つの利点
1つは、金額を聞かれたときの返事と、見積書の作成が速くなることです。品目と単価が決まっていれば、「トップページ1枚と下層4ページなら、デザインはこの金額です」と、その場で概算を返せます。
見積書も料金表の行を選んで数量を入れるだけになり、過去の見積書から単価を探す手間がなくなります。
もう1つは、含む範囲がぶれなくなることです。修正回数や素材の扱いを品目の行に書いておけば、取引先によって「修正3回込み」「2回込み」と条件が変わることを防げます。
ただし、料金表があっても、届いた依頼文を読んで作業に分け、料金表の行に当てる手間は残ります。どれくらいの手間かは、後半の依頼メール1通の例で確かめられます。
Webデザイナー・Web制作の料金表の記入例とコピー用テンプレート
下の表は、Web制作の依頼を受ける架空のフリーランスの料金表です。単価は説明のための架空の金額で、相場を示したものではありません。
表の単価はすべて架空の金額です。並び順にも理由があります。
具体的な品目を上に、「範囲外の修正」「月額保守」のような品目を下に置いています。料金表から見積書を作るツールの中には、上の行から順に品目名を探すものがあるためです(この記事のTASKULの手順で説明します)。
下の枠の中をすべてコピーして、Googleスプレッドシートやエクセルの左上のセル(A1)に貼り付けると、見出しの行と記入例の2行が入ります。その下の行に、自分の品目を足していきます。
単価の列は数字だけにしておくと、合計を計算するときに式が使えます。
品目名 単位 単価(税抜) 含む範囲 含まない(別料金)
トップページデザイン ページ 60000 PC・スマホ各1案、修正2回まで 写真撮影・イラスト制作
範囲外の修正 時間 5000 含む範囲を超えた修正・作業 —
オプションと月額の保守を料金表に載せる方法
オプションは、「含まない(別料金)」に書いた作業のうち、自分で引き受けるものです。月額の保守は単位を「式」にして、1か月に含む作業を回数で書きます。
別料金の作業は、引き受けるものだけ金額を決めておく
「含まない(別料金)」に書いた作業のうち、自分で引き受けるものは、料金表のどの行の単価で計算するかを決めておきます。記入例では、含む範囲を超えた修正を「範囲外の修正」の行(1時間5,000円)で計算します。
バナー制作の「サイズ違いの追加」は新しい行を作らず、バナー制作の行(1個8,000円)の数量を増やせば足ります。
引き受けない作業(記入例では写真撮影や取材)は、料金表に行を作らず、「含まない」の列に書くだけにします。行がない作業を頼まれたときに、断るのか、知り合いに頼んで手配するのかは、先に決めておくと返事が早くなります。
短い納期で頼まれたときに上乗せする料金も、別料金の作業と同じく、増える作業から金額を出します。出し方と見積書への書き方は、特急料金の決め方と短納期の依頼への返信例文にまとめています。
月額の保守は単位を「式」にして、含む作業を回数で書く
公開後の保守を毎月受けるなら、単位を「式」にして、1か月に含む作業を回数で書きます。記入例の月額保守は「月1回のWordPress更新、文字の差し替え3か所まで」です。
回数が書いてあれば、4か所目の差し替えを頼まれたときに、範囲外の修正として数えられます。
品目名に「月額」と入れておくと、見積書や請求書に載せたときに、毎月かかる料金だと取引先にも分かります。
料金表をサイトに載せるときの書き方
サイトに載せて個人のお客様(消費者)にも見せるなら、税込の金額を表示します。見積書と請求書は、税込で表示する決まりの対象外です。
サイトに載せるなら税込の金額を書く
国税庁のNo.6902「総額表示」の義務付けでは、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合に、消費税を含めた価格(税込価格)を表示することが義務付けられています。No.6902は、店頭表示・チラシ広告・新聞やテレビの広告など、どの媒体で表示する場合も対象にしています。
個人のお客様からも依頼を受けるなら、サイトの料金ページは税込で書きます。
書き方は「11,000円(税込)」「11,000円(税抜価格10,000円)」のように、税込の金額が分かる形にします。記入例のトップページデザインなら「66,000円(税込)」です。
見積書と請求書は総額表示の対象外
同じ国税庁の総額表示のQ&Aでは、見積書・契約書・請求書などは総額表示義務の対象にならないと書かれています。見積書の明細を税抜の単価で書き、最後に消費税を足す形にしても、総額表示の決まりには当たりません。
料金ページに「目安」と一言添える
サイトに載せる料金表には、「掲載している金額は目安です。内容を伺ってお見積もりします」と一言添えます。届く依頼には、料金表のどの行にも当てはまらない作業や、含む範囲を超える作業が混ざるからです。
当てはまらない作業は、次の見出しの手順で料金表と照らし合わせ、金額を決める前に先方へ確認します。
見積もりに料金表をどう使う?依頼メール1通を料金表と照らし合わせる例

届いた依頼文を作業に分けて、1行ずつ料金表の品目に当てます。当てはまった行は見積書の明細にして、当てはまらない行だけを先方に聞きます。
架空の工務店(C工務店)の広報担当から、次の依頼メールが届いたとします。
この依頼を作業に分けて、記入例の料金表と照らし合わせたのが下の表です。
金額が入る8行の合計は405,000円(税抜)で、消費税10%を足すと445,500円(税込)です。このうち「サイト構成案」は依頼文に書かれていませんが、ページを作る前に構成を決める作業は必要なので、自分で足しています。
要確認の2行は、金額を入れずに先方へ聞きます。施工事例を、お知らせと同じように公開後も自分たちで増やしたいなら、No.6の「含まない」にある投稿の種類の追加に当たります。
Instagram用の告知画像は、サイズによって、バナー制作の1個として数えてよいかが変わります。
先方への返信で聞くのは、この2つだけです。
返事が来たら、要確認の行に料金表の品目と金額を入れ、上の表の上から順に見積書の明細にします。見積書に書く項目と体裁は、見積書に書く項目と作り方で説明しています。支払日や修正回数などの取引条件を、依頼を受ける前に確かめる手順は、依頼を受ける前に確かめる取引条件を見てください。
見積を送ったあとに値下げを頼まれたときは、料金表の行ごとに残す・削る・先方に回すを決めて返します。手順と返信の文例は、見積もりの値下げを頼まれたときの返し方で説明しています。
ページ数や素材がまだ決まっていない問い合わせなら、行ごとに下限と上限で数えて、金額の幅で返します。幅の出し方と返信の文例は、概算見積の出し方とメール例文にあります。
この例で手を動かしたのは、依頼メールを10行の作業に分けること、8行に料金表の番号を当てて単価を写すこと、ページ数などの数量を入れることの3つです。料金表を作ったあとも、依頼が届くたびにこの3つはやり直しになります。
取引先が増えるほど、書き出しと照らし合わせの回数も増えます。
料金表から見積書を自動で作るには?TASKULのマイ料金表を使う手順
前の章で手を動かした3つのうち、依頼メールを作業に分けることと、料金表の単価を当てることは、TASKUL(タスクル)で下書きまで自動にできます。数量を入れることは手で残ります。
TASKULには、見積書の画面に「マイ料金表」というタブがあり、よく使う作業と単価を登録しておけます。届いた依頼文からプロジェクトとタスクを作り、そのプロジェクトで見積書を作成すると、タスク名に料金表の品目名が含まれる行に単価が入ります。見積書とマイ料金表は、無料のFreeプランでも使えます。
TASKULでの操作
①見積書の「マイ料金表」タブに品目を登録する
見積書の画面で「マイ料金表」タブを開き、「行を追加」から作業名・単価・単位・備考を入れます。単位は式・ページ・時間・件・個から選べます。この記事の記入例を登録するなら、品目名を作業名に、含む範囲と含まないを備考に書きます。
この記事の記入例の11品目を、TASKULの「マイ料金表」に登録したところです。作業名・単価・単位を入れ、含む範囲と含まない作業は備考に書きます。
②依頼メールを「依頼文・議事録から自動作成」に貼る
「新規プロジェクト作成」を押して「依頼文・議事録から自動作成」を選び、届いた依頼メールを貼ります。AIが依頼文から、プロジェクトの概要・タスク・追加質問を作ります。
AIクレジットを使うことと、作られるタスクの名前が依頼文によって変わることは、先に知っておいてください。
前の章のC工務店(架空)の依頼メールを、「依頼文・議事録から自動作成」に貼ったところです。
③プロジェクトの「見積」タブで「見積書を作成」を押す
できたプロジェクトを開き、「見積」タブで「見積書を作成」を押します。そのプロジェクトのタスクが1行ずつ見積書の明細になり、タスク名に料金表の品目名が含まれる行には、その品目の単価と単位が入ります。有効期限は発行日の30日後、税率は10%で作られます。
④単価が入らなかった行と数量を直す
品目名が含まれないタスクは、単価0円・単位「式」で入ります。その行は単価を手で入れるか、見積もりに要らない行なら消します。数量はすべて1で入るので、下層ページ4ページのような行は数量を4に直します。
C工務店の案件で「見積書を作成」を押した直後の明細です。タスク名に料金表の作業名が含まれる8行には単価が入り、Instagram用の告知画像の行は0円・式で入ります。数量はすべて1なので、下層ページの2行は4に直します。データは架空です。
単価が入るのは、タスク名に品目名が含まれる行だけ

TASKULは、料金表を上の行から順に見て、品目名がタスク名に含まれている最初の1行の単価を使います。料金表に「トップページデザイン」があれば、「トップページデザイン(PC・スマホ)」というタスクには60,000円が入ります。
反対に、タスク名が「TOPのデザイン」だと、どの品目名も含まれないので0円で入ります。
単価を正しく入れるには、2つのことに気をつけます。1つは、品目名を短く具体的にすることです。
「デザイン」のような短すぎる名前を上の行に置くと、デザインと付くほとんどのタスクにその単価が入ってしまいます。もう1つは、具体的な品目を上の行に置くことです。この記事の記入例が具体的な品目から並んでいるのは、そのためです。
見積書を作る前に、タスク名を料金表の品目名に合わせて直しておく方法もあります。
TASKULでできないこと
- 数量は自動で入りません。すべて1で入るので、ページ数や個数は手で直します
- 料金表を取引先に見せる公開ページや共有の機能はないので、サイトに載せる料金表は別に作ります
- 「含む範囲」と「含まない(別料金)」を書く専用の列はないので、備考の欄に書きます
料金表がスプレッドシート1枚で足りていて、見積書もそこから問題なく作れているなら、無理に移す必要はありません。依頼が届くたびに作業を書き出して見積書を作り直しているなら、依頼文を貼ってタスクを作り、そのまま見積書にする流れを試せます。
Freeプランはプロジェクト10件・AIクレジット200/月までです。まずは料金表に品目を数行登録し、次に届いた依頼からTASKULで見積書を作ってみてください。
料金表の作り方に関するよくある質問
料金表を作るときに、よく迷う点をまとめました。
料金表は取引先ごとに変えてもいいですか?
料金表の単価は1つにして、取引先ごとに違う条件は別の表に残すほうが管理しやすくなります。取引先ごとに料金表を作ると、単価を変えたときに直す表が増えるためです。取引先ごとの取り決めは、取引先ごとの取り決めを残す顧客管理表にまとめられます。
料金表の金額は税込と税抜のどちらで書けばいいですか?
自分用で見積書のもとにする料金表は、税抜で書いて列の名前に「税抜」と入れておくと計算しやすくなります。サイトに載せて個人のお客様にも見せる場合は、国税庁のNo.6902のとおり、税込の金額を表示します。
「一式」の品目は使わないほうがいいですか?
使って構いません。ただし、その一式に何が入るかを「含む範囲」に書けるときだけにします。中身を書けない一式は、追加の依頼が来たときに別料金かどうかを決められません。
料金表どおりにならない依頼はどうしますか?
依頼を作業に分けて、当てはまらない行を「要確認」にし、その行だけを先方に聞きます。金額は、返事をもらってから入れます。
料金表はどのくらいの頻度で見直せばいいですか?
決まった頻度よりも、単価を変えたときと、含む範囲で行き違いがあったときに直します。行き違いがあった品目は、「含む範囲」か「含まない(別料金)」に一言足しておけば、次の依頼からは同じ条件で説明できます。
料金表があれば、見積書は不要ですか?
見積書は必要です。料金表は品目と単価の一覧で、見積書は依頼1件ごとの作業・数量・合計金額・有効期限を書く書類です。見積書の書き方は、見積書に書く項目と作り方で説明しています。
まとめ|料金表は品目ごとに含む範囲まで1行で書く
フリーランスの料金表は、品目ごとに単位・単価・含む範囲・含まない(別料金)を1行で書いた一覧です。今日からやることは3つです。
この記事のまとめ
- 過去の見積書と請求書を3〜5通開いて、品目を書き出す
- コピー用の表に、品目ごとの単位・単価・含む範囲・含まないを埋める
- 次の依頼が来たら、依頼文を作業に分けて料金表と照らし合わせ、当てはまらない行だけを先方に聞く
料金表ができれば、見積書はその行を組み合わせて作れます。
依頼が届くたびに作業を書き出して料金表と照らし合わせているなら、料金表をTASKULのマイ料金表に登録しておくと、依頼文を貼るところから見積書の下書きまでを1か所で進められます。Freeプランのままで試せます。
