TASKUL コラム 納品後の検収が終わらないときは?フリーランス法の支払期日と文例3つ
納品後の検収が終わらないときは?フリーランス法の支払期日と文例3つ

納品後の検収が終わらないときは?フリーランス法の支払期日と文例3つ

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「先月末にデータを納品したのに、『社内で確認中です』のまま返事がない」「支払いは検収のあとと言われていて、いつまで待てばいいのか分からない」。納品した案件の検収が止まっても、支払期日は決まっています。フリーランス法が当てはまる取引なら、支払期日は検収が済んだ日ではなく、発注した側が納品物を受け取った日から数えて60日以内で決めることになっています。

この記事では、クライアントから直接仕事を受けて成果物を納めるデザイナーやWeb制作者に向けて、納品から検収・請求・入金までの流れ、支払期日の数え方と例外、検収が止まる原因、先方に送る文例3つをまとめました。メールで納品した日がいつになるかも説明します。60日目の日付まで入れた納品記録表は、コピーしてそのまま使えます。当てはまる取引かどうかは、支払期日の章にある3つの条件で確かめられます。

納品から検収・請求・入金までの流れ

納品は成果物を先方に渡すこと、検収は先方が中身を確かめて受け入れることです。フリーランス法では、支払期日の数え始めは検収の日ではなく、先方が納品物を受け取った日です。

流れを、誰が動くかと、そのとき控えておく日付で分けると次のようになります。

段階 動く人 やること 控えておく日付
納品 自分 成果物をメール・チャット・共有フォルダなどで送る 送った日時(送信済みメールの日時など)
検収 先方 中身を確かめ、受け入れるか修正を頼むかを返事する 受け取りの返事が来た日/検収が終わった日
請求 自分 取り決めどおりに請求書を送る 請求書を送った日と、書いた支払期日
入金 先方 支払期日までに振り込む 入金を確かめた日

支払期日の数え始めに関わるのは、表の「納品」の日付です。メールで送った場合は、先方のパソコンなどに記録された時点が受け取った日になるので、送信済みメールの日時がその手がかりになります。受け取りの返事が来た日や検収が終わった日(検収完了日)は、先方の都合で後ろにずれることがあります。

納品と検収は何が違う?

納品は自分が渡す行為で、検収は先方が受け入れる行為です。検収に何日かけるかは、見積書や発注書で取引ごとに決めておくものです。

フリーランス法では、発注する側が検査をする場合、「検査完了期日」を取引の条件として示すことになっています。発注書やメールに検査の期日が書かれていないときは、先に聞いておくと、あとで待つ日数の目安になります。

納品・検収の支払期日はいつまで?フリーランス法では受け取った日から60日以内

検収が終わらなくても、支払期日は決まっています。フリーランス法第4条により、当てはまる取引では、発注する側は、納品物を受け取った日から数えて60日以内のできる限り短い期間で支払期日を決め、その日までに報酬を払わなければなりません。

公正取引委員会のフリーランス法のパンフレットとQ&Aに沿って、数え方を順に確かめます。

数え始めは「検収の日」ではなく「受け取った日」

条文には、支払期日は発注した側が「検査をするかどうかを問わず」給付を受領した日から数える、と書かれています。検収が済んでいないことは、数え始めを遅らせる理由になりません。

受け取った日は1日目に数えます。Q&Aには「受領した日を算入します」とあるので、9月1日に受け取った場合、60日目は10月30日です。スプレッドシートなら「受け取った日+59」で求められます。

支払期日を決めていなかった場合は受け取った日そのものが支払期日になり、60日を超える日を決めていた場合は60日目が支払期日になります。毎月末締め・翌月末払いのように月単位で締める取引は、61日目や62日目になっても「受領した日から2か月以内」として扱う、と説明されています。

メールやチャットで納品した日は、いつになる?

電子メールなどで納品した場合、受け取った日は、発注した側のパソコンなどに記録された時点です。先方が開いて中身を見た日ではありません。

そのため、控えるのは先方の返事の日ではなく、送信済みメールの日時です。チャットへの投稿や、共有ドライブのURLだけを送る方法がどう扱われるかは、公正取引委員会の資料では確かめられませんでした。チャットで納めたときも投稿日時を控えておき、判断に迷わないよう、送った日時が記録に残る方法で納品の連絡を入れておくと安全です。

例外:確認が済んでから受け取ったことにする約束がある場合

デザインや原稿などの成果物では、例外があります。公正取引委員会と厚生労働省の解釈ガイドラインによると、途中で内容を確かめるために一時的に先方の手元に置く場合、事前に「一定の水準を満たしていると確認した時点で受け取ったことにする」と合意していれば、手元に置いた日を数え始めにしません。

ただし、この例外には歯止めがあります。取引の条件として示された納期に成果物が先方の手元にあれば、確認が終わっているかどうかにかかわらず、その納期が数え始めになります。確認が長引いても、支払期日の起算は納期を超えて後ろにずれません。この扱いはデータで納める成果物(情報成果物)に限られ、物品には認められていない点に注意してください。

この決まりが当てはまる取引か、3つの条件で確かめる

60日の決まりは、すべての取引に当てはまるわけではありません。次の3つを確かめます。

確かめること 当てはまる 当てはまらない・別の扱い
①自分 従業員を使っていない個人。または、代表者1人のほかに役員も従業員もいない法人 従業員を使っている
②相手 従業員を使っている個人、または役員が2人以上いるか従業員を使っている法人 相手も従業員のいないフリーランス(60日の決まりは当てはまらない)
③仕事の出どころ 相手が自社の事業のために直接発注している 相手が元請けから受けた仕事の一部を回している(条件を示していれば、元請けの支払期日から30日以内で決められる例外がある)

ここでいう従業員は、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上続けて雇う見込みのある人です。相手がフリーランスの場合でも、取引の条件を書面やメールで示す義務は当てはまります。

修正でやり直した場合の数え始め

フリーランス側に責任があってやり直した場合は、やり直した成果物を受け取った日から数える、と説明されています。頼まれた内容と合っていない場合などがこれに当たります。先方の都合でやり直した場合に数え始めがどうなるかは、公正取引委員会のパンフレットとQ&Aを確認した範囲では説明が見当たりませんでした。

検収が終わらない・遅いときの原因と対処

検収が止まる原因は、大きく分けて3つです。先方の社内の都合、検収の基準が決まっていないこと、追加の注文が混ざることです。症状から原因を見分けて、今日やることを決めます。

症状 よくある原因 今日やること
「社内で確認中です」のまま2週間たつ 先方の社内で承認する人が決まっていない 納品した日時と60日目を記録表に書き、文例③で支払予定日を確かめる
担当者が異動・休みで返事がない 引き継ぎの中で納品物の置き場所が分からなくなっている 納品の連絡を同じ件名で転送し、代わりの窓口を聞く
「全体が揃ってから見ます」と言われる 先方が自社の都合で検収をまとめている 発注された成果物を全部納めているなら、数え始めは先方が受け取った日。送った日時を控えたうえで、文例③で支払予定日を聞く(一部だけ先に納めた場合の扱いは、公正取引委員会の資料では確かめられませんでした)
検収のたびに新しい注文が来る 最初に頼まれた範囲と、あとから足された注文が混ざっている 届いた指示を1行ずつに分け、範囲外は別の見積にする
「請求書は検収が終わってから」と言われる 請求書の受付を検収の後にしている 請求書を出す時期は取り決めに従い、支払期日は受け取った日から数えることを文例③で確かめる
そもそも返事がない メールが届いていない、または担当者の目に入っていない 送信済みの記録を探し、文例①の受け取りの確認を送り直す

指示の分け方は届いた修正依頼を1行ずつに分ける手順、範囲外の修正の見積もり方は範囲外の修正を追加料金にする手順で解説しています。

納期を過ぎても「まだ送らないでください」と言われる場合は、別の問題です。フリーランス側に責任が無いのに受け取りを拒むことは、1か月以上の業務委託では禁止されている行為に当たります。

納品の連絡と検収期限の確認に使えるメール文例3つ

納品の連絡に、受け取りの確認と検収の期限を最初から書いておきます。止まってから催促するより、最初の連絡で期限を共有しておくほうが、先方も社内で動きやすくなります。文例の日付は、下の記録表の案件Bに合わせています。

文例①:納品の連絡(受け取りの確認と検収期限を書く)

お世話になっております。
コーポレートサイトのトップページのデザインデータを、本メールに添付してお送りします。

お手数ですが、受け取りのご確認だけ先にお返事いただけますと幸いです。
内容のご確認は、9月8日(火)までにいただけますと助かります。
修正がある場合も、同じ日までにまとめてお知らせください。

文例②:検収期限の前日に送る確認のメール

お世話になっております。
9月1日(火)にお送りしたトップページのデザインについて、
ご確認の期限を明日9月8日(火)とさせていただいておりました。

社内でのご確認の中で止まっている点があれば、先にお知らせいただけますでしょうか。
修正のご希望がある場合は、お見積りの範囲に含まれるかを確認のうえ対応いたします。

文例③:支払期日を確認する連絡

お世話になっております。
9月1日(火)10時15分にメールでお送りし、受け取っていただいたデザインデータについて、
お支払いの予定日を確認させてください。

遅くとも10月30日(金)までにお支払いいただける日程で、請求書を作成してよろしいでしょうか。
ご確認が続いている場合でも、先に請求書をお送りする形で問題ないか、
あわせてお知らせいただけますと幸いです。

文例には法律の名前を入れていません。相手を責める書き方にせず、日付で伝えるほうが返事をもらいやすいためです。先方から支払予定日がはっきり返ってこないときは、当てはまる取引かどうかを3つの条件で確かめます。当てはまる取引なら、よくある質問の最後に載せた公正取引委員会の申出窓口に相談できます。

検収期間の決め方と、コピーして使える納品記録表

見積書の備考に検収の期間と連絡がない場合の扱いを書き、納品のたびに送った日時を記録します。この2つがあれば、止まったときに確かめる材料が最初から手元にそろいます。

見積書の備考に書く2行

検収期間は、納品日から◯営業日とします。
期間内にご連絡がない場合は、検収完了として扱わせていただきます。

この2行は、当事者どうしの取り決めです。法律がこう定めているわけではないので、先方に合意してもらって初めて意味を持ちます。◯に入れる日数は、案件の大きさと先方の確認体制に合わせて決めてください。備考のほかに書く項目は見積書に書く項目の一覧にまとめています。

コピーして使える納品記録表

記録するのは日付と送り方だけです。金額は見積書と請求書の側で管理します。架空の3案件で記入例を作りました。案件Aは期限内に検収が済んだもの、案件Bは「社内確認中」で止まっているもの、案件Cは制作会社から回ってきた仕事です。

案件名 納品物 納品日 送信時刻 送付方法 受領の返事 検収期限 60日目 請求書を送った日 入金日
A 飲食店のLP デザインデータ 8/21 16:40 メール添付 8/24 受領の返事 8/28 10/19 8/31
B コーポレートサイト トップページのデザイン 9/1 10:15 メール添付 9/2「社内で確認中」 9/8 10/30
C 制作会社からの再委託 バナー12点 9/10 18:20 チャットに投稿 9/11 受領の返事 9/17 11/8(再委託の条件が示されていれば、元請けの支払期日10/31から30日目の11/29)

案件Bは、検収期限の9/8を過ぎても返事が止まっています。期限を過ぎているので、60日目の10/30より前に支払予定日を確かめられるよう、文例③を送る場面です。案件Cは、発注した制作会社が元請けから受けた仕事の一部なので、制作会社が必要な事項を示していれば、元請けからの支払期日を1日目として30日以内に支払期日を決められます。示していなければ、ほかの案件と同じく60日目の11/8までです。文例③では支払予定日を先に聞き、60日目は「遅くともこの日まで」という上限として伝えています。

納品日の列には、先方に届いた日として送信日を入れています。届いたかどうか分からないときは、文例①で受け取りを確かめます。数え始めは返事の日ではなく、先方のパソコンなどに記録された日のままです。

下の枠をコピーして、GoogleスプレッドシートやExcelのA1のセルに貼り付けると、列に分かれて入ります。60日目の列は「=C2+59」のように、納品日の列に59を足す式にしておくと、日付を入れるだけで出ます。

案件名	納品物	納品日	送信時刻	送付方法	受領の返事	検収期限	60日目	請求書を送った日	入金日
A 飲食店のLP	デザインデータ	2026/8/21	16:40	メール添付	8/24 受領の返事	2026/8/28	2026/10/19	2026/8/31
B コーポレートサイト	トップページのデザイン	2026/9/1	10:15	メール添付	9/2「社内で確認中」	2026/9/8	2026/10/30
C 制作会社からの再委託	バナー12点	2026/9/10	18:20	チャットに投稿	9/11 受領の返事	2026/9/17	2026/11/8(再委託の条件が示されていれば2026/11/29)		

送付方法の列には、あとで記録を探せるよう、メールの件名やチャットのスレッド名を書き足しておくと便利です。

納品から請求までをTASKULで管理する手順

TASKUL(タスクル)では、案件のステータスを「完了」に変えて納品月を入れておくと、請求書を作るときにその月の案件が自動で選ばれます。記録表で日付を控えたうえで、案件と請求書を同じ場所で扱いたい場合の手順です。

TASKULでの手順

①案件のステータスを「完了」に変えて、納品月を入れる

ステータスを「完了」に変えると、「ステータスを「納品済」に変更するには、納品月を指定してください。」という画面が出るので、納品した月を選びます。

②検収の返事の期限を、期日付きのタスクにしておく

同じ案件に「検収の返事を確認」のようなタスクを足し、期日には検収期限の前日を入れておきます。その日までに返事が来ていなければ、文例②を送ります。

TASKULの案件詳細画面。タスク一覧に担当者と期日が並び、納品に向けた作業を期日で管理している様子

③請求書でクライアントと請求月を選ぶ

請求書の作成画面でクライアントと請求月を選ぶと、同じ月を納品月にした案件が自動で選ばれます。該当する案件が無いときは、明細を手で入力します。

④支払期限を取り決めの日付に直し、入金後に「入金済」にする

請求書の支払期限は、初期値が作成日の30日後になっています。取り決めた支払期日に直してから送ります。取り決めが無い場合、法律上の支払期日は受け取った日そのものです。請求書の支払期限は先方と相談して決め、少なくとも60日目を過ぎない日付にします。入金を確かめたら、案件のステータスを「入金済」に変えます。

TASKULで作成した請求書の画面。発行日・支払期限・請求月が右上に並んでいる

案件のステータス変更、タスクの期日、請求書の作成は、無料プランでも使えます。

TASKULでできないこと

TASKULの案件に入れられるのは納品した「月」までで、納品した日や時刻の欄はありません。日付は記録表に書くか、タスクの期日に入れます。検収の状態や検収期限の専用の欄も無いので、上の②のようにタスクの期日で代用します。

法律上の支払期日を自動で計算する機能や、先方に催促のメールを自動で送る機能もありません。60日目は記録表で出し、連絡は文例を使って自分で送ります。

無料プランは月額0円で、プロジェクト10件まで、AIクレジットは月200です。いま止まっている案件を1件登録し、「完了」にして納品月を入れ、請求書を作るところまで試せます。TASKULを無料ではじめる

納品・検収と支払期日のまとめ

納品した案件の検収が止まっても、フリーランス法が当てはまる取引なら、支払期日は受け取った日から数えて決まります。

  • 送信済みメールやチャットの投稿日時で、納品した日時を確かめる
  • 記録表に書き、受け取った日を1日目として60日目を出す
  • 当てはまる取引かを3つの条件で確かめ、文例②か③を送る
  • 次の見積書の備考に、検収期間と連絡がない場合の扱いの2行を入れる

請求書の出し忘れを防ぐ方法は、自分の請求漏れを防ぐ仕組みで解説しています。まずは止まっている案件を1件、記録表に書くところから始めてください。

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納品と検収に関するよくある質問

検収と支払期日について、よく迷う点をまとめました。

検収期間は何日が普通ですか?

検収期間の日数は、取引ごとに見積書や発注書で決めます。フリーランス法では、発注する側が検査をする場合、「検査完了期日」を取引の条件として示すことになっています。決めていない場合は、発注した側に検査の期日を聞いておくと、待つ日数の目安になります。

検収が終わるまで請求書を出してはいけませんか?

請求書を出す時期は、先方との取り決めに従います。フリーランス法が当てはまる取引なら、支払期日は請求書の日付ではなく、先方が納品物を受け取った日から数えて決まります。

相手が個人のフリーランスでも、60日の決まりは当てはまりますか?

当てはまりません。60日の決まりは、従業員を使っている個人・法人か、役員が2人以上いる法人が発注する場合が対象です。ただし、取引の条件を書面やメールで示す義務は、フリーランスどうしの取引にも当てはまります。

元請けから「うちも入金待ち」と言われたら、どうなりますか?

再委託であることなどの必要な事項が示されていれば、元請けからの支払期日を1日目として30日以内に支払期日を決められる例外があります。数え始めは、実際に元請けから入金された日ではなく、決められた元請けの支払期日です。

修正を頼まれたら、支払期日は数え直しになりますか?

フリーランス側に責任があってやり直した場合は、やり直した成果物を受け取った日から数えます。先方の都合でやり直した場合に数え始めがどうなるかは、公正取引委員会のパンフレットとQ&Aを確認した範囲では説明が見当たりませんでした。

支払期日が守られないときは、どこに相談できますか?

公正取引委員会のフリーランス法の申出窓口に申し出ることができます。

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